研究課題/領域番号 |
01480533
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
池永 満生 京都大学, 放射線生物研究センター, 教授 (70025378)
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研究分担者 |
滝本 晃一 山口大学, 農学部, 助教授 (00115875)
石崎 寛治 京都大学, 放射線生物研究センター, 助教授 (70111987)
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キーワード | MNNG誘発突然変異 / 大腸菌crp遺伝子 / DNAシーケンシング / トランジション突然変異 / ホットスポット |
研究概要 |
昨年度は、大腸菌のサイクリックAMPレセプター蛋白(crp)遺伝子について、X線で誘発した突然変異がDNA塩基配列のどのような変化に基づくかを解析した。本年度は、放射線と比較するために、強力な変異原として知られているニトロソグアニジン(MNNG)による突然変異についてDNAシーケンスを決定することで塩基特異性を調べた。 crp遺伝子を含んだプラスミドpHA7をMNNGで処理した後、crp遺伝子を欠損している大腸菌にトランスフェクションして、これらの菌を寒天培地上にプレートした。この系では、crp遺伝子に変化が無ければ大腸菌は赤色のコロニーを作るが、MNNGでcrp^ーの突然変異が生じると白いコロニーを作る。このような突然変異株を多数分離して、それぞれの変異株からプラスミドを回収し、crp遺伝子のDNA塩基配列をサンガー法で決定した。 合計44個の突然変異クローンについてDNA塩基配列を解析した結果、42個の塩基配列の変化を検出した。その内訳は、GC塩基対からATへのtransition型突然変異が39個、ATからGCへのtransitionが2個、フレームシフト型突然変異が1個であった。注目すべきことは、39個のGCからATへのtransitionのなかで34個(87%)が同じ場所、すなわち706番目のGC塩基対に生じていることである。X線で誘発した突然変異の場合にも、同じ場所がホットスポットになっていた。このことは、706番目のGC塩基対がcrp蛋白の機能にとって極めて重要であることを意味する。なお、全体の9割以上を占めるGCからATへのtransitionは、MNNGの処理で生じる0^6-メチルグアニンがDNA複製の際に誤ってチミンと対合するためだと考えられる。
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