研究概要 |
現代のスペインの演劇作品を30選び,これをコンピュ-タ-に入力することによって総語数50万のデ-タベ-スができあがった.初年度にこれを機械的に処理することによって大規模の文脈付索引(コンコ-ダンス)を完成させることができたが,デ-タの量が膨大であるため本年度はその12分の1の量を少数の部数に限って印刷することにした.これが昨年度の続く『スペイン語演劇作品の言語学的分析ー(Vー2)コンコ-ダンス:BーCHUT』である. この資料をもとにして,これから記述言語学の立場から,スペイン語の総合的な研究を行なう予定であるが,本年度は次の3つのテ-マにしぼることにした. (1)前置詞句,(2)関係代名詞,(3)形態分析用資料の作成 (1)昨年度では,前置詞+名詞+前置詞という連続についての特徴を,意味と統語の面から調べ,これを「関西スペイン語学セミナ-」で口頭発表した.本年度ではさらに具体的なデ-タをコンピュ-タ-によって検索し,394例を集めた.この理論と実例を東京大学教養学科紀要に発表した. (2)これも,昨年度の継続である.スペイン語の関係代名詞は,その前に前置詞がつく場合とつかない場合とでは用法に大きな違いがることをデ-タによって確かめたが,これを専門誌にまとめて発表した. (3)これは,本年度に始めた作業である.語の形態を分析するには,語尾からの逆引き配列資料が不可欠である.外国で出版された資料もあるが,どれも品詞や意味をつけていないので利用が不便であった.そこでこれらを載せたおよそ3万語の逆配列語彙表を作成した。
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