1.今年度は理論研究を中心に行い、以下の成果を得た。 (1)「公務労働論争」と称される日本の論争を検討し、この論争が概念の混乱をはじめ多くの問題を持つこと、また蓄積論的角度から、「公務労働」を捉える関心が希薄であることを認識した。 (2)蓄積論的角度から「公務労働」を捉えるために、A・スミスとK・マルクスの「生産的労働と不生産的労働」「サ-ビス労働」の議論を整理した。 (3)「公共部門の政治経済学」に関する内外の諸理論を調べ、整理についての一定の見通しを得た。 (4)「公務労働の現代的様相」を見据えるためのフレ-ムと議論を仮説的に構築し得た。 2.来年度以降は、以上の理論研究で得た成果を経験的仮説に再整理しアンケ-ト調査などの実証的研究を行う予定である。また、「現場の公務労働」への関心を発展させるために、「ストリ-ト・レベルの官僚制」に関する議論をもう少し調べてみる予定である。
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