研究概要 |
本研究の目的は、寡占市場のワ-キングとパフォ-マンスを情報経済学の立場から解明することであり、とくに、寡占企業間の水平的情報交換の厚生効果を、垂直的統合の影響を立ち入って究明することであった。 本研究は平成元年度と2年度の2年間にわたる。元年度においては、本研究を積極的に推進するため、寡占と情報に関する図書1セット、ならびにコンピュ-タ周辺機器、事務備品の購入を行った。そして、資料整理と計算機使用補助のための一般および学生若干名の短期雇用を行った。 酒井は、ク-ルノ-およびベルトラン寡占企業間の水平的情報交換の社会効果を重点的に研究し、阿比留は寡占企業間の垂直的統合の影響を主として分析した。各自の成果は理論計量経済学会全国大会や同学会西部部会や、慶応経済学会箱根コンファレンスや研究会、セミナ-において報告した。また、主要成果を学術論文の形において公刊することにも意をそそぎ、Journal of Economics,Economic Studies Quartalyなどの英文雑誌に公表することができた。 酒井と阿比留は研究打合せと資料調査のため、東京、大阪、九州方面へ数回出張した。また、筑波大学や福岡大学において、本研究に関係するセミナ-と研究会を10回程度開くことができた。 本年度の研究はどちらかといえば理論的な基礎固めの研究であった。次年度においては、研究の重点を政策的・実証的分析の方に移し、寡占企業間の水平的・垂直的情報交換が、日本の産業政策上どういう意義を持つかを具体的に考察したいと思う。
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