日本経済の国際化と産業構造の変化

1990 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 01530005
• 研究機関: 神戸大学
• 研究代表者: 足立 英之 神戸大学, 経済学部, 教授 (70030666)
• 研究分担者: 片山 誠一 神戸大学経済経営研究所, 助教授 (70047489) ; 吹春 俊隆 神戸大学, 教養部, 助教授 (40136031) ; 田中 康秀 神戸大学, 経済学部, 教授 (00093518) ; 上河 泰男 中京大学, 経済学部, 教授 (50047437) ; 岸本 哲也 神戸大学, 経済学部, 教授 (00031352)
• キーワード: 金融と投資 / 情報技術革新 / 公益事業兼業規制 / 枯渇資源 / 不完全競争と貿易 / 二重労働市場 / 日米欧貿易摩擦

研究概要

今年度は、第一年度の研究会で確認しあった研究方向にしたがって、主として各自の個別研究を行った。足立は、金融市場の国際化にともなって複雑化してきた金融と投資の関係についての基礎的研究を行い、論文として公刊した。さらに、情報技術革新と産業構造の変化の関係についての理論的・実証的研究を現在進めている。上河は、産業構造と国際貿易との関係に関する基礎的研究を行い、特に不完全競争のもとでの国際貿易理論の構築に向けていくつかの新しい研究成果を得た。吹春は、産業構造と貿易との関係を具体的に探るため、日米欧貿易摩擦の研究を行っていたが、自動車産業における貿易摩擦に焦点を合わせて、その歴史と現状を明らかにし、論文として公刊した。田中は、日本経済の産業構造の変化にともなう就業構造の変化、構造調整過程での賃金調整機能や労働のモビリティといった労働市場のフレクシビリティを研究テ-マとしてきたが、日本特有の二重労働市場のもとでの賃金・雇用に決定に関する理論的・実証的研究おいて成果を挙げた。片山は、今年度前半はアメリカへ研修のため出張していたが、その間、アメリカでの産業規制の問題を理論的・実証的に研究した。また、産業構造の変化によってもたらされる石油などの枯渇性資源への需要の変化は資源問題との関連で需要であるが、枯渇資源の市場の安定性と資源の採堀パタ-ンという観点から研究を行ない、その成果を論文として発表した。岸本は、日本の国際化のなかでの公的部門の役割を研究テ-マとしたが、特に、公益事業の兼業規制の問題を検討し、成果を論文として発表した。

研究成果

• [文献書誌] 足立 英之: "経済の不安定性と金融的要因ーミンスキ-・モデルの定式化と展開ー" 国民経済雑誌. 161. 21-45 (1990)
• [文献書誌] 足立 英之: "投資、金融および総需要" 国民経済雑誌. 162. 57-80 (1990)
• [文献書誌] 上河 泰男: "The Relevance of the Nature of Competition to Optimal Policies under International Oligopoly and Nonlinear Cost Function" Discussion Paper Series,No.5,Chukyo University. 1-19 (1990)
• [文献書誌] 上河 泰男: "Imperfect Competition,IntraーIndustry Trade and Nonーlinear Cost FunctionsーA General Equilibrium Analysis of Trade Policyー" Discussion Paper Series,No.6,Chukyo University. 1-12 (1990)
• [文献書誌] 上河 泰男: "Imperfect Competition and Existence of the General Equilibrium Solution under IntraーIndustry Trade" Working paper,No.112,Kobe University of Commerce. 1-18 (1990)
• [文献書誌] 田中 康秀: "賃金格差の決定因について" 国民経済雑誌. 162. 95-114 (1990)
• [文献書誌] 田中 康秀: "効率賃金仮設と規模間賃金格差ーわが国製造業の場合ー" 国民経済雑誌.
• [文献書誌] 吹春 俊隆: "日米欧経済摩擦;自動車産業" 経済学研究年報. 37. (1990)
• [文献書誌] 片山 誠一: "代替財のある枯渇性資源の価格と需要" 国民経済雑誌. 163. 57-74 (1991)