研究概要 |
先づ、染色体表面に蓄積する物質や同時に細胞質中に形成される仁様小体にRNAが含まれるかどうか検討した。 (1)RNase-gold complexで超薄切片を処理し、電子顕微鏡下で金粒子の分布を分析した。ユリの減数分裂過程を通じて調べたところ、第一及び第二減数分裂の後期の終わりに、好銀性物質が細胞質中に集合し、仁様小体を形成した。RNase-gold complexで処理すると、仁には細胞質より7倍も高い密度で金粒子がみられたのに対し、細胞質仁様小体は細胞質よりわずか2倍程の金粒子しかみられなかった。ソラマメの体細胞分裂においても同様にして調べてみた。後期の終り頃染色体表面に好銀性物質が蓄積してくる。RNase-gold complexで処理したところ、仁や細胞質に高密度の金粒子が分布するのに対し,好銀性物質上にはそれよりずっと低密度の金粒子しか観察されなかった。以上の結果から仁様小体や染色体表面に蓄積する物質には、含んでいるとしても、低密度のRNAしか存在しないことが示唆された。なお,この研究で、(イ)親水性の樹脂であるLowicrylK4Mを用いるが、又は(ロ)エポンのような疎水性の樹脂を用いる場合は、超薄切片をあらかじめイオンコ-タ-で放電処理すると,RNase-goldの非特異的吸着を著しく減じることがわかった。 (2)rRNAプロ-ブの作成は、電気泳動で分離し,特定のRNA種をゲルから溶出精製し,invitroでイオディネ-ションする方法を考えている。今のところ、ソラマメの若芽より全RNAを抽出し、貯えているところである。 (3)ポリ(u)RNAをプロ-ブとして用いた電顕レベルのin situハイブリダイゼ-ション法によるmRNAの検索については、(1)及び(2)の課題の進行に合わせて継続してゆく予定である。
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