研究概要 |
今年度の研究業績は以下の通りである。 (1)疎水性樹脂で包埋した切片をあらかじめ放電処理することによりRNaseーgoldラベル法の反応特異性を増加させる方法をすでに開発したが今回試料を親水性樹脂であるLowicryl K4Mに包埋することにより,さらに反応特異性を増加させることができた。この方法をソラマメの体細胞に応用することにより,染色体上に蓄積するいわゆる前仁物質には,RNAがほとんど含まれないことがさらに裏付けられた。同様に,細胞質中に出現する仁様小体にもRNAはほとんど含まれていなかった。 (2)rRNAプロ-ブの作成及びIn situハイブリダイゼ-ション ソラマメの芽や根端からRNAを抽出し,アクリルアミドゲルで電気泳動し,分離した。必要なバンドを切り出して,エクストラフォアで電気的に溶出し,RNAを精製した。この精製したRNAを再泳動させコントロ-ルと比較したところ,クロスコンタミネ-ションや崩壊もなく取り出せていることが分かった。このrRNAを ^<125>Iでイオディネ-ションし,ソラマメ根端細胞から調製した染色体標本にin situハイブリダイゼ-ションしてみた。その結果,仁形成部に相当すると思われる部分にラベルが現われた。しかし,ラベルの強さはさほど強くなく,今後よりspecific activityの高いプロ-ブを作成する必要がある。 (3)AntiーDNAによるラベル DNAに対する抗体を用いて間接免疫抗体法を電子顕微鏡レベルで行なった。染色体上の前仁物質には全くDNAは含まれないことが分かった。又,細胞質中の仁様小体にもDNAは検出されなかった。
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