研究概要 |
南部北上山地、阿武隈山地においてペルム系坂本沢層、叶倉層、登米層とその相当層から単体サンコ化石を採集した。しかし産出状況は甚だ断片的で、個体数も限られる。ことに最上部ペルム系からの産出は極めてまれである。これは、北上、阿武隈のテレ-ンが、ペルム系の後半にはスロ-プ相へと移化したことに関連しているものとみられる。 単体のサンゴ化石がもっとも豊富に産したのは、阿武隈山地の高倉山層であった。これは北上山地の叶倉層に相当する。ただ化石は固い砂質マトリックスに埋もれていて抽出はできない。薄片によって研究中である。軸柱のあるVerbeekiella,Lophophyllidium,Cyathaxoniaなどが優勢である。 参考のため琉球て現生単体サンゴについて調べたが、寄生動物によって軸柱の形態に変化の生ずることをスミソニアン研究所のグライガ-氏より教示され有益であった。 矢部と早坂が1915年当時研究した標本は東北大学に保管されているが、この中に当時は未記載だったVerbeekiella Japonicumが含まれていた。Axophylloides nom.nud.属は、今日のSakamotosawanellaに相当するものらしい。矢部・早坂コレクションには、東亜のデボン紀、石炭紀、ペルム紀サンゴ化石の重要なタイプ標本が含まれており、ペルム紀単体サンゴ以外にも、将来徹底した再研究が望まれる。 引き続き西南日本でも採集につとめ、遅れている形態学的、分類的、系統的な研究を完成させたいと考えている。
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