研究概要 |
太陽光エネルギ-は,それの持つ変動性のため,通常エネルギ-貯蔵装置を必要とするが,本研究はエネルギ-貯蔵装置として,超電導コイルの使用可能性を明らかにすることを目的として行われている。本年度は昨年度に引き続いて,交直変換器を介して超電導コイルを電力系統に連系した場合の動作と設計条件を確認するための実験的研究を行った。更に風力発電,波力発電などと太陽光発電との複合自然エネルギ-システムへの応用の可能性について検討するため,太陽電池と定電圧電源を超電導コイルに連系した回路を試作し,実験によってその動作を確認し,設計上の問題点を抽出した。その結果,以下のような結果が得られた。 (1)電圧制御用のチョッパの通流率,および交直変換器における制御角をパソコンで制御することにより,日射のいかんにかかわらず,太陽電池を最大出力点近傍で動作せしめ,又超電導コイルと交流系統の間では任意の電力を入出力させることが可能であることを確認した。 (2)太陽電池と定電圧電源を同時に用いたハイブリッド発電システムにおいて,2台のチョッパが同時にオンしないようチョッパの周波数を同一にし,オンするタイミングをずらすことによって,各電源に対応する2台のチョッパから一つの超電導コイルへの電力の貯蔵が可能である。 (3)各々の電源に対応して,複数のチョッパを用いる場合,並列接続は信頼性などの点において直列接続に勝るが,チョッパが同時にオンにならないように動作させなければならないので,制御機能については並列接続の方が複雑となる。 本研究で試作した太陽光発電システムは,規模が小さいため,損失が相対的に大きくなっているが,出力が200KWの程度の規模においては,総合効率が80%以上になり得ることが,上記実験デ-タにより推定される。
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