研究課題/領域番号 |
01550279
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
杉原 厚吉 東京大学, 工学部, 助教授 (40144117)
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研究分担者 |
今井 敏行 東京大学, 工学部, 助手 (90213214)
富岡 豊 東京大学, 工学部, 助手 (30188776)
伊理 正夫 東京大学, 工学部, 教授 (40010722)
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キーワード | 幾何的アルゴリズム / 数値的安定化 / ボロノイ図 / 逐次添加法 / 数値的矛盾 / 幾何的退化 |
研究概要 |
「位相構造を優先させることによって数値的安定化を図る」という本研究の基本方針を、点ボロノイ図を構成するための逐次添加型算法を例として集中的に取り上げて検討した。その結果、どれほど大きな数値誤差が生じても途中で破綻することなく最後まで処理が進んで何らかの出力を出し、計算精度を上げて行くとその出力が真のボロノイ図に収束する、という性質をもったアルゴリズムを設計・作成することができた。さらに、数値計算の方法を注意深く選択した結果、単精度浮動小数点計算で百万点の母点に対するボロノイ図を正しく構成できることがわかった。この性能は、同じ計算精度で扱うことのできる母点数を今までの数百倍に高めるものである。また、数値的安定化を施しても、従来と同様に、母点数に比例する計算量で平均的に算法が終了することも確かめられた。 これらの検討を通して、本方針に基づくアルゴリズムの数値的安定化が、次の二つの副産物的効果ももつことがわかった:(1)幾何的退化を扱うために従束は必要であった例外処理が不要なため、アルゴリズムの構造を単純化する効果をもつ:(2)数値的異常が発生してもその状況が出力結果として目に見えるため、数値計算法の開発に役立つ。そのため、これら二つの側面についてもその性質と有効性を詳しく検討することにした。 また、同様の方針に基づいた数値的安定化を、他の幾何的アルゴリズム(特に、点ボロノイ図を作るためのもう一つの代表的方法である分割統治型算法、線分ボロノイ図の逐次添加型構成算法、3次元点ボロノイ図の逐次添加型構成算法、図形同士の集合演算の算法など)に対しても適用すべく、その可能性と具体的方法についての検討を開始しているところである。
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