先ず、鉄筋を緊張する低プレストレストコンクリ-トについて、プレストレスの有効率およびその有効プレストレスによるひびわれ制御効果について検討し、乾燥収縮・クリ-プなどの影響を受けてもひびわれを抑制できる程度に十分に残留することを明らかにした。なお、鉄筋にプレストレスを導入しても、つり合鉄筋比以下であれば、終局耐力はRCの場合とほとんど変わらない。 次いで、鉄筋のリラクセ-ション率は、常温時ではPC鋼より線の1/2以下、高温時(100℃)では1/3以下となることが明らかにされた。したがって、PC鋼棒程度の値をとっておけば、それ以上になることはないものと考えられる。 鉄筋緊張PC部材の端部定着機構は、ふしの影響が極めて大きい点で、PC鋼材を用いる場合とは大きく異なっている。そこで、鉄筋張力のコンクリ-トへの伝達は、ふしの機械的抵抗(Ri)と両者間に働く接触圧による摩擦抵抗(Rfi)の両方によってなされると考え、プレテンション部材端での鉄筋の定着機構モデルを提案した。その計算方法で、ふしに作用する抵抗力から求めた付着応力(τi)、ポアソン効果による摩擦抵抗から求めた付着応力(τf)およびコンクリ-トに導入されたプレストレス(σc)等を求めたところ、Transfer Bondのうち鉄筋のポアソン効果による摩擦力で負担される部分は15〜30%で、残りの70〜85%はふしによって負担されており、異形鉄筋の場合、定着の主役はふしの機械的抵抗力であることが分かった。また、σcの分布曲線は実測値と比較的よく合致した。定着部の付着破壊および割裂破壊に対する安全性の検討方法を提案し、鉄筋緊張PCではコンクリ-ト強度が150kgf/cm^2と低い場合でも、それらの破壊はほとんど生じないことを明らかにした。
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