研究概要 |
1.カオリン粘土鉱物の脱水反応について研究した。とくにデイッカィトの2段脱水反応に重点を置き,まずこれを解析するための計算システムを完成させた。結晶度の異なる4種の試料を使用し,次の結果を得た。(1)デイッカットの脱水反応は低温側脱水酸反応と高温側脱水反応の複合反応であり,前者は拡散律速で活性化エネルギ-(E)は126ー164kJ.mol^<-1>,後者は1次あるいは界面律速でEは212ー260kJ.mol^<-1>であった。(2)前者の脱水量の全脱水量に対する比は結晶度と負の相関があり,後者のそれは結晶度と正の相関がある。(3)14A^^゚相の生成量は結晶度および高温側脱水反応の脱水量の全脱水量に対する比と正の相関がある。(4)高温側脱水反応は主に14A^^゚相に取りこまれていた水酸基イオンあるいは水分子が14A^^゚相の破壊とともに脱水する反応である。カオリナイトについても結晶度の異なる4種の試料について検討し,以下のことがわかった。(5)2の鉱物の脱水反応は拡散反応で活性化エネルギ-は150〜300kJ.mol^<-1>である。(6)活性化エネルギ-と結晶度には正の相関がある。 (2)ロ-モンタイト-レオンハルダイト系列については,とくにロ-モンタイトの300〜700℃の高温相について検討を行ない,この温度域における脱水は拡散反応によって進行し,活性化エネルギ-は136.56kJ.mol^<-1>であること,化学組成は低温相のそれと変らないことを確認した。しかし,高温相の構造決定までには至らなかった。 3.ナトロライトおよびこれをポタシウムイオンで置換したKーナトロライトの脱水反応を速度論的に解析した。ナトロライトの場合は脱水反応はC軸に平行に定速で進行すること(0次反応),Kーナトロライトの場合は各粒子ごとに脱水が直ちに完了しparticle by particleで反応が進行する(1次反応)こと,活性化エネルギ-はそれぞれ126.83kJ.mol^<-1>,74.01kJ.mol^<-1>であることがわかった。
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