研究概要 |
1.ナガチャコガネの飛翔筋を持たない雌成虫を、羽化後定期的に解剖を行ない、卵巣の発育状態を観察した結果、雌の胸部の脂肪体が羽化後の日数の経過と共に徐々に消失していくことを明らかにした。このことから、飛翔筋を持たない本種の雌成虫は、成虫の羽化直後から飛翔筋を持たず、卵巣成熟に胸部の脂肪体の栄養物質を利用していることが推測された。2.マメコガネ成虫の野外固体群を記号放逐法を用い定期的に調査した結果、成虫の出現開始・終了日は過去8年間の平均とほとんど差がなかった。出現個体数からみても、本種の個体群動態は例年非常に安定していると考えられる。3.実験室内でマメコガネ成虫の性比と配偶行動の関係を観察した。雌に対する雄の性比が高いと、雄は雌に対し、交接行動終了後も長時間警護行動を取ることが分かった。これは雄の個体間の精子競争に関係する行動と思われた。4.チビサクラコガネ、オオサカスジコガネの2種幼虫を異なる初期生息密度で飼育し,定期的に幼虫の生存個体数,齢期などを観察したところ、その生存曲線の型から、両種とも幼虫はcontest(勝ち抜き)型の密度効果を示すことが明らかとなった。5.昆虫寄生性線虫クシダマネSteinernema kushidaiの殺虫効果をドウガネブイブイ、ヒメコガネ、オオサカスジコガネ、チビサクラコガネ、マメコガネの5種のコガネムシ類幼虫について、室内実験及び圃場試験を検討した。その結果、本線虫は供試したすべてのコガネムシ類に感染力が認められた。圃場試験の結果から、実用的には全面散布よりも地中潅注処理が優れていると結論した。
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