1.マメコガネ、ナガチャコガネの配偶行動を野外、室内で観察したところ、両種の雄はそれぞれの方法で他の雄と精子競争を行なっていることが分かった。とくにマメコガネは、雌に対する雄の比率が高いと、交接行動終了後も長時間雌の警護行動をとることが認められた。2.コガネムシ類の中に、雌成虫の一部がが正常な翅を持ちながら飛翔筋を欠くため飛翔を行なえない種のあることを明らかにした。この飛翔筋多型現象の存在するナガチャコガネの飛翔筋を持たない雌成虫は胸部に脂肪体を充満させ、これを卵巣成熟の栄養作質として利用していることも明らかにした。3.ヒメコガネの室内周年飼育法を検討し、野外での発育期間の半分以下の日数で成虫の羽化を可能にした。また、成虫の人工飼料についても良好な結果を得た。さらにナガチャコガネの幼虫をニンジン、腐葉土で飼育し、成虫化させることに成功した。4.ナガチャコガネ、ヒメコガネ、ドウガネブイブイなど、各種コガネムシ類の処女雌の性フェロモンの存在を野外網室内で検討した。その結果、前2種は雄が誘引行動を示したが、ドウガネブイブイでは明らかではなかった。さらに、ヒメコガネの合成性フェロモンの誘引効果を圃場で調査したが、その効果は十分ではなかった。5.昆虫寄生性糸状菌Metarhizium anisopliae製剤のドウガネブイブイ幼虫及び卵に対する殺虫効果を室内で検討した。その結果、卵、1齢幼虫に顕著な効果が認められた。また、本剤により死亡した幼虫は7週間後も他の個体に高い感染能力を有していた。6.昆虫寄生性線虫Steinernema kushidaiの殺虫効果を5種のコガネムシ類幼虫について検討した。その結果、本種線虫は供試したすべてのコガネムシ類に感染力が認められた。また、他の昆虫寄生性線虫S.feltiaeが殺虫剤、界面活性剤との混用施用で優れた効果を示すことを明らかにした。
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