まさ土は、花崗岩が風化してできた土であり、その風化度によって粒径分布は砂質なものから粘土質なものへと変化する。本年度は、佐賀県背振山系から風化度の異なるまさ土を採取し、締固めによる粒子破砕特性およびコンシステンシ-限界特性について実験的に検討した。 1.締固めによるまさ土の粒子破砕特性 風化過程にあるまさ土は、締固めなどによって粒子が破砕され、その力学的性質にも影響を及ぼす。そこで風化度の異なる3種類のまさ土を採取し、最適含水状態で10、25、50、100回の締固めを行い、それぞれ粒度分析を行った。締固めによる粒子破砕の様子を粘土分、シルト分、砂(れきを含む)分の含有率を示す三角座標上の点の変化でみると、風化度の相違によって変化の軌跡が異なる。すなわち、風化度の低いまさ土では砂分の現象と粘土分の増加が顕著であり、風化度の高いまさ土ではシルト分の減少と粘土分の増加が著しい。また、粒子破砕による土粒子の表面積の増加は、風化度の低いまさ土では100回の締固めによって約1.7倍に増加することが分った。 2.まさ土のコンシステンシ-限界測定法 風化がある程度進んで、粒径分布からはシルトや粘土の範ちゅうに入るまさ土も、従来のコンシステンシ-限界試験法(JIS)によれば非粘性土に分類されてきた。その理由はJISの試験法では塑性限界値が測定不能となるためであった。そこで粘性土の液性・塑性両限界の同時測定法として用いられているフォ-ルコ-ン試験法によるまさ土の両限界値の測定を試みた。粒径分布から判断して風化度の異なる3種類のまさ土試料について種々の含水状態におけるフォ-ルコ-ン試験と液性・塑性両限界試験とを実施した。これによれば、塑性限界については今後検討の余地を残したが、液性限界については通常の60゚、60gfコ-ンの10mmの貫入時の含水比をまさ土の液性限界値とみなしてよいことが明らかとなった。
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