今回はTPA処理によって巨核球への分化を示すT-33の分子レベルの検索としてc-yes遺伝子産物が示すチロシン蛋白キナ-ゼ活性を免疫沈降法によって測定した。 (結果) 1.TPAで巨核球への分化誘導をうけたT-33はc-yesチロシンキナ-ゼ(TPK)活性が16時間後、36-40時間では低下する。TPAによる分離膜形成は5-7日後にみられる。このc-yesのTPK活性の低下はdown regulationを示唆している。 2.TPAで巨核球への分化誘導を示すK562も同様にc-yes TPK活性が16時間、36-40時間後に低下した。ここでもc-yesのdown regulationが示唆された。 3.赤芽球系を巨核球系の両方の性質を示すHEL株は、TPA処理後c-yes TPK活性は増強された。 4.単球系のU-937株ではTPA処理後c-yes TPK活性は増強された。 5.単球/顆粒球系のHL-60株ではTPA処理後c-yes TPK活性の明瞭な変化が得られていない。 6.c-yes TPK活性は、メディウム交換直後(0時間)でHEL、T-33に於いて特に強くU-937、HL-60で中等度、K562では弱く発現した。 7.c-srcのTPK活性はT-33に於いて強く発現し、TPA処理後、さらに増強された。 以上c-yes TPKはc-srcと異なりTPAによる巨核球系分化において特異的に低下することから、c-yesによるdown regulationが巨核球系分化に関与することが示唆された
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