研究概要 |
次の3種の心筋症モデルにおいて、心筋内クレアチン・キナ-ゼ(CK)、乳酸脱水素酵素(LD)、アスパラギン酸アミノトランスフェラ-ゼ(AST)の総活性およびアイソザイム活性を測定した。各アイソザイムの分離には電気泳動を用いた。 (1)ストレプトゾシン糖尿病ラット(DM,n=21)およびそのインスリン治療群(DM+I,n=9)、(2)30〜240日齢のBio 14.6心筋症ハムスタ-(Bio,n=29)、(3)イソプロテレノ-ル0.25〜1mg/kg/日3週間投与ラット(ISO,n=20)。 その結果、DM心では他の2者に比べて際だった違いがみられた。すなわちDM心では総CK,CK MB,CK-B(基質親和性が強い)活性およびLD-M/H比(嫌気持的解糖の一指標)がすべて低下し、一方BioとISO心では総CKが低下した以外はこれらがすべて増加していた。これはDM心における酵素的硬塞サイズの過小評価に結び付き、臨床的重症度と酵素的硬塞サイズとの解離をよく説明する。またDM心は虚血への生化学的適応を欠くことも示唆された。一方ISO心では総CKの低下、CK-Bの増加、LD-M/H比の増加がみられ、過剰なカテコラミンにさらされた心臓ではストレスに対する適応としてCK-BやLD-Mが発現すると思われた。
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