コンピュ-テッドラディオグラフィ(CR)ディジタルサブトラクションアンジオグラフィ(DSA)によってX線像のデジタル化が可能になった。そしてPACS(Picture Archiving & Communicating System)の発展とともに表示の方法もCRTに変わろうとしている。本研究ではX線画像のCRT診断が可能なPACSの開発を目指し、CRT表示のための撮影法、処理法および診断法の検討を行った。 X線画像はコンピュ-ティッドラディオグラフィ(CR)、デジタルサブトラクションアンギオグラフィ(DSA)およびフィルムデジタイザ-によりデジタル化されたX線画像(DR)を用いた。入力した画像はPACSの光ディスクに蓄積し、画像ワ-クステ-ションに表示した。表示は20インチモノクロで1000×1000、ノンインタ-レ-スのCRTである。物理的性能評価を行うためのチャ-トやファント-ムを用いた検討によって、CRT表示では空間分解能を損なわないためには拡大表示、濃度分解能を損なわないためにはウィンドウ、レベルの適切な設定が必要であることが示された。 実際の臨床でCRT診断を試みた結果、最も問題になることは表示に時間がかかることであった。なかでもCRT表示の際の適切なガンマの設定に時間を要した。フィルムによる診断に比較してCRT診断では時間がかかることが最も大きな障害であった。拡大やウインドウ、レベルの設定が自由にできることが、CRT診断の利点とされることが多い。しかし、それをしないことにはフィルムと同じ表示性能が得られないこともあり、欠点ともなり得る。今後のCRT診断の課題は時間をかけずに適切なウインドウ、レベル、ガンマを選択し、CRT表示することと考えられた。
|