画像圧縮の欠点は画質の低下である。画像診断医にとって画質の低下がどの程度まで我慢できるかという問に答えるのは苦痛であるが、システムの実用化のためには、画像圧縮は避けられない問題である。そこで臨床上安全な圧縮比と、圧縮による劣化を把握するために、50枚のデジタル化したX線フィルム画像をNonuniform Block Coding Methodにより圧縮し、1000line CRTとレ-ザ-プリンタ-を使って出力した再生画像の画質評価を行った。100の選択した観察対象について対象ごとに最適な表示ウィンドゥを用いて比圧縮像比較し、画像上で認められる差異の程度を4段階のスコアで表した。平均圧縮比12:1、8:1、5:1の3種の圧縮パラメ-タを用いた評価より、次の結論が得られた。(1)8:1程度にすれば小数の例において静脈石の辺縁やヘアラインに僅かな差異が認められるが、臨床上ほぼ安全と考えられる。(2)5:1程度にすれば有意な形状に差異は認められず、安全と考えられる。(3)劣化は精細で淡い線や平坦濃度中の淡い形に現れ易く、CRTよりもフィルムで分かりやすい。
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