研究概要 |
既に申請者らは、食細胞(好中球、マクロファ-ジ等)膜上に存在し活性酸素産生に関与しているチトクロ-ロb558(Cytb558)がヒト末梢血Bリンパ球上にも発現している事を、Cytb558に対する単クロ-ン抗体を用い、Flow cytometryにより見出している。(T細胞、NK細胞には存在せず、慢性肉芽腫症CGD患者のB細胞には発現していない。)又は、骨髄細胞を用いた実験から、このCytb558は幼若なB細胞では発現しておらず、成熟B細胞で現われ、それが抗体産生細胞へ移行していく過程で失われていく事、既ちsurface IgMの発現とほぼ一致して発現している事を見出した。 平成2年度には、1.まず種々の分化段階のB系株化細胞を用いてFlow cytometryによりその表面上の抗原の解析を行なった処、surface IgM陽性,B系株化細胞のほとんどにCytb558の発現がみられた。即ち,成熟B細胞の分化段階にあるB系株化細胞ではCytb558陽性であった。これに対して、surface IgM陰性のB系細胞なT系細胞ではCytb558の発現はみられなかった. 2.次に既に確立した末梢血Bリンパ球を大量に純度高くとる方法を用いてB細胞を分離し、その膜画分を調製し、合成ペプチドによりウサギで作成したCytb558の大鎖、小鎖に対する抗体を用いてWestemblotを行なった。この結果、Bリンパ球にも好中球のCytb558と同様,分子量の大鎖(90K)、小鎖(22K)が存在する事が明らかとなった。 3.更にこれらCytb558発現がみられた末梢血B細胞、B系株化細胞が化学的(PMA等)、免疫学的(抗Ig等)刺激により、ス-パ-オキシド(O_2^ー)を産生するか否かをルンゲニンを用いたケミルミネッセンスにより調べた。両刺激でO_2^ーの産生がみられたが、ここで特筆すべき事は、食細胞ではO_2^ーの産生のみられなかった抗ヒトIgMの刺激で末梢血Bリンパ球およびB系株化細胞ではO_2^ーを産生し、その産生量は抗上ヒトIgMを固定化する事により格段に上昇した。
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