研究課題/領域番号 |
01570907
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
泌尿器科学
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研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
橘 政昭 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (70129526)
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研究分担者 |
出口 修宏 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (90118977)
実川 正道 慶應義塾大学, 医学部, 助教授 (00101957)
田崎 寛 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (90051268)
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研究期間 (年度) |
1989 – 1990
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キーワード | 膀胱癌 / DNA / Bromodeoxyuridine / フローサイトメトリー / 尿細胞診自動化 / Computer Assisted Image Analysis |
研究概要 |
Flow cytometry (FCM)は従来顕微鏡下で行われて来た各種癌細胞における核の異常を molecular levelで自動的かつ定量的な解析を可能とする技術であり、その方法による癌細胞の生物学的特性の解明はそのmalignant potentialあるいはinvasivenessの評価法としての多くの期待がもたれる。一方、膀胱洗浄液標本に対するFCM検索は、従来の細胞診検索より早期にその異常をとらえ得る可能性があるとともに細胞診における陽性率より高いことが示されたことから膀胱癌診断上極めて有力な方法であると考えられた。膀胱癌の特性として多中心性発生(同時あるいは異時性に腫瘍が多発すること)があり早期に腫瘍の再発を予知することは、治療法の選択あるいは治療のモニターリングとして極めて有用である。しかしながら、low grade 腫瘍におけるFCM陽性率はそのDNA量の変異が少ないことより低値であり未だ満足できるものではない。Bromodeoxyuridineとの二重解析はこれを補う一つの方法であると思われるが、今後 更に、low grade 腫瘍を判定し得る新たなparameterを併用したFCMの開発が望まれる。以上のように膀胱癌に対するFCM検索は1)FCMは細胞診より高率に膀胱癌細胞を判定し得ること 2)尿細胞診に先んじてその異常所見を捕らえ得ること3)客観的悪性度評価法として治療法選択の判断基準の一つとなり得るなど膀胱癌診断法としてのみならず治療のモニターリング法としても臨床応用可能であると考えられる。一方、コンピューター画像解析による尿中細胞成分の判定に関しては、白血球、赤血球、上皮性細胞、各種結晶成分の判定が高精度になり得た。しかしながら、異型上皮細胞の同定にあたっては、high-grade腫瘍細胞の判定は比較的に容易であるが、low-grade細胞の判定率は極めて低いものであった。このことは、画像解析においてはよりtumor specificな特徴的判定基準の確立が今後必要であると考えられた。
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