1.子宮頸部前癌病変の症例に対し、in situ hybridization(I.S.H)法によりHPV16型、18型DNAかつE6/E7mRNA発現例にその後のprospectiveな検討より病変の進行例が多い成績が得られた。一方、L1/L2mRNA発現例では病変はむしろ進行例は少ない結果が得られた。 2.子宮頸部擦過細胞を用いたPCR法よりHPV16型、18型DNAのE_7領域の検出が可能となり発癌との関連深いHPV.DNA診断を実用化した。 3.パラフィン包埋切片よりDNAを抽出し、同じくPCR法によりHPV16型、18型E_7DNAの診断法を確立した。 4.子宮頸癌組織よりRNAを抽出し、Nothern blot法でHPV16型、18型、mRNAの検出を行なうとともに、逆転写酵素によりcDNAを得、特定領域の遺伝子(E_7、E_5 etc.)のmRNA検出法が確立し、今後HPV遺伝子発現と発癌との関連がより詳細に把握できるようになった。 5.子宮頸部異形成においてHPV31、33、35、52b型DNAを検出した。 6.HPVによる発癌機序の一つとしてHPV high visk群である16型、18型DNAの初期遺伝子E_6やE_7蛋白とそれに結合すると推察されている癌抑制遺伝子産物であるRb遺伝子産物やP53産物の検出が必要と思われる。そこで、とりあえずHPV16型E6/E7mRNA発現の異形成症例においてP53産物の局在を酵素抗体法で検討中である。 7.HPV16型E_7蛋白の局在を同じ16型E6/E7mRNA発現例に対し酵素抗体法より検討し、子宮頸部異形成で発癌high risk群の同定をおこない、特にE_7蛋白陽性例に病変進行群の多い結果が得られた。 8.外陰疾患においてHPV、DNAの検出を行ない、特に外陰癌並びに前癌病変において16型、18型の検出例が増加した。
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