研究概要 |
1.サリチルアルデヒド誘導体とヴィッティッヒ試薬によるクマリン環の簡易合成 サリチルアルデヒド類とヴィッティッヒ試薬によるジエチルアニリン還留下でのクマリン環形成において,サリチルアルデヒドの4位メトキシ置換体はクマリン環形成を促進する事を明らかにすると共にその反応機構についても検討を加えた。さらに今回電子吸引性置換基であるニトロ基を4位および5位に持つサリチルアルデヒド体についても検討を加え,そのメカニズムから推定される如く,上記条件下ではクマリン環形成の速度は大変遅い事が判明した。 2.ミカン科植物から得られる新クマリンの合成的構造研究 Reischらはインド産サルカケミカンより一新クマリンを単離し,その推定構造式として(1)を報告した。しかし我々の研究室で単離した新クマリン(2)の構造研究の際(1)を合成したが,報告のデ-タとは一致しなかった。そこで我々はReischのクマリンのスペクトルデ-タおよびミカン科クマリンの生合成仮説を考慮に入れ,Reischのクマリンの推定構造式として(3)および(4)式を考えた。今回,前述のクマリン環の簡易合成法を合成ル-トに組み込んで,(3)および(4)の合成を検討し,それぞれ合成に成功した。化合物(3)のデ-タがReischのデ-タに最も近いものであった。現在デ-タ類を精求中である。
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