研究概要 |
ポジトロン断層法による腫瘍の核酸代謝診断用のトレ-サであるFー18標識した2'ーdeoxyー5ーfluorouridine(FdUrd)は、ヒトおよびマウスともに投与後極めて速く分解し、血漿中に主異化物としてαー[ ^<18>F]fluoroーβーalanine(FBAL)が現れ、PET解析に大きな影響を与えた(昨年度報告)。PETによる脳腫瘍診断において、FdUrd投与後の腫瘍へのFー18集積に対する血漿FBALとその他の異化物の寄与を検討したところ、腫瘍への集積放射能の10ー20%と推察され、正常脳を対照部位とすることにより腫瘍内に存在する異化物の割合を評価できそうであることが判明した。 Fー18標識化合物としてその他に、[ ^<18>F]AcOFあるいは[18^F]F_2により5ー[ ^<18>F]fluoroー2',3',isopropylideneー5'ーOー(4ーNーacetamideー2,4ーdideoxyー3,6,7,8ーtetraーOーacetylー1ーmethoxycarbonylーDーglyceroーaーgalactoーoctaーpyranosyl)uridineを得た。この化合物は免疫調整作用を持つとされているが、動物実験には至らなかった。また、AcOF法やフッ素アニオンによるadeninosineおよびguanosineの標識効率は極めた低く、実用的ではなかった。 ポジトロン核種Brー75(半減期98分)をサイクロトロンによる核反応 ^<75>As( ^3He,3n) ^<75>Brにて得た。Brアニオンとdeoxyuridineあるいはuracilを、chloramineーT法にて反応させ、HPLCにより分離し、5ー[ ^<75>Br]bromoー2'ーdeoxyuridine(BrdUrd)あるいは5ー[ ^<75>Br]bromouracil(BUra)を単離した。腫瘍移植ラットで体内分布を調べたところ、どちらも時間とともに腫瘍に集積し、BrdUrdの集積はBrUraの2倍と高かった。しかし、両者ともに血液の放射能レベルは高く、生体内での脱臭素化が示唆された。
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