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1989 年度 実績報告書

神経細胞死の分子機構:興奮性アミノ酸の関与

研究課題

研究課題/領域番号 01571261
研究機関(財)東京都臨床医学総合研究所

研究代表者

篠崎 温彦  (財)東京都臨床医学総合研究所, 薬理, 研究員 (20109945)

研究分担者 石田 美知子  (財)東京都臨床医学総合研究所, 薬理, 研究員 (90124437)
キーワード興奮性アミノ酸 / アクロメリン酸 / カイニン酸 / 神経細胞死 / 脊髄 / 海馬
研究概要

新生ラット摘出脊髄標本において、いろいろな濃度の興奮性アミノ酸を適用し、運動ニュ-ロンの脱分極活性を比較したところ、アクロメリン酸は、キスカル酸、カイニン酸、NMDAなどの興奮性アミノ酸をしのいで、最も高い脱分極活性を示した。またアクロメリン酸による脱分極は、NMDAの選択的遮断薬によっては影響を受けず、CNQXやDNQXによりほぼ完全に抑制されることから、アクロメリン酸は非NMDAタイプの興奮性アミノ酸アゴニストであることがわかった。アクロメリン酸のラットにおける最小致死量はカイニン酸の約半量である。アクロメリン酸をラットに静注すると、誘発される神経学的症状は、カイニン酸によるものとはかなり異なる。アクロメリン酸のたった一回の静注により、投与後約1時間位より、後肢の強直性伸展を起こし、翌日以降後肢はこむらがえり、強直性対麻痺に転ずる。投与後約1時間の後肢の強直性伸展はストリキニンによるけいれんに類似するが、下半身に限られていることが特徴であり、この時点では上半身には症状の上では特別認めるべき変化はない。これらは、カイニン酸投与後に見られる特徴的な辺縁系てんかんと極めて対照的である。カイニン酸投与後では、大脳皮質や海馬CAI領域で用量依存性に神経細胞の変性を認めるが、アクロメリン酸投与ラットでは、脳にはほとんど認めるべき変化がないが、脊髄の下位にいくほど変性が著しくなり、特に腰髄および仙髄ではグリオ-シスと小さな神経細胞の顕著な脱落がびまん性に広がっており、後角において著しかった。運動ニュ-ロンなどの前角細胞では変性を認めなかった。カイニン酸やドウモイ酸に比べて、アクロメリン酸の神経細胞興奮作用は極めて強力であること、カイニン酸とは異なる部位の神経細胞を破壊することなど、これまでのカイノイドとはかなり異なるスペクトラムをもつ物質であることが判明した。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] Shinozaki,H: "A conformationally restricted analogue of Lーglutamate,the(2S,3R,4S)isomer of Lーαー(carboxycyclopropyl)glycine,activates the NMDA type receptor more markedly than NMDA in the isolated rat spinal cord." Brain Research. 480. 355-359 (1989)

  • [文献書誌] Shinozaki,H: "Depression of decerebrate rigidity in the rat by antagonists of excitatory amino acids." Neuropharmacology. 28. 593-598 (1989)

  • [文献書誌] Shinozaki,H: "Specific lesions of rat spinal interneurons induced by systemic administration of acromelic acid,a new potent kainate analogue." Brain Research. 503. 330-333 (1989)

  • [文献書誌] Shinozaki,H: "Potent NMDAーlike actions and marked potentiation of glutamte responses of conformational variants of a glutamate analogue in the rat spinal cord." British Journal of Pharmacology. 98. 1213-1224 (1989)

  • [文献書誌] 篠崎温彦: "新しいグルタミン酸アゴニスト:神経細胞破壊の機序を探るツ-ル" 実験医学. 7. 99-103 (1989)

  • [文献書誌] Shinozaki,H: "Amino Acids:Chemistry,Biology and Medicine" ESCOM, 700 (1990)

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公開日: 1993-03-26   更新日: 2016-04-21  

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