本研究は、従来の栄養素とは別に、食細胞を中心とする生体防御機構を活性化する物質を植物性食品中に求めた。 生体防御機構の指標として、食細胞からのサイトカイン類の産生、放出量を調べた。 本年度は各種の茸類や野菜類を調べた。その結果、ニンジン、タマネギ、キャベツなどの経口投与により、マウス血清中にサイトカインの産出が検出された。一方、サイトカインの多量な産生を抑制する食物があるか調べたところ、シソやショウガにその活性があることが判明した。これらの結果は、食品にも免疫賦活剤や反対にステロイド剤のような作用を示す物質が存在することを示唆している。 本研究において、植物性食品の一部がBRM的作用、すなわち食細胞の集積やサイトカインの誘導、あるいは抑制をひきおこす成分を含むことを初めて明らかにした。このことは、植物性食品には、一次機能としての栄養素だけでなく、食細胞を中心とする生体防御機構を調節し、健康な状態を保持するのに必要な成分が含まれている可能性を示唆している。すなわち、従来薬として利用されてきた生体防御機構の調節物質が植物性食品という食物の世界にも見い出しえるといえよう。
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