研究概要 |
昨年度は地形図の地図記号認識の要素を縮尺に依存しないことを条件にして研究し、主に幾何学的特徴点による認識要素を研究した。これらの認識要素は非分離地図記号によく適用することが実験的に明らかにされた。本年度は分離記号に対して認識要素を追加して、地形図の地図記号全てに対して認識実験を試みることにした。地形図の縮尺1/25,000の地図記号を認識する実験用に地図記号のモデルを作成して(昨年度:67種類、本年度:77種類、合計144種類)、これを画像デ-タ化した。この画像デ-タを用いて、昨年究明した地図記号の認識・要素を改良して適用したところ、100%の認識率を得ることができた。この高認識率を得た主要因は『地形図の地図記号の認識に対する一考察』と題して発表したホ-ルの認識要素の追加が挙げられる(研究者:星)。次に地図記号だけからの認識は高精度であっても既存地図に存在する地図記号に対しては不十分であることが考えられるので、研究者(池辺)らは地図記号の認識システムとしての評価基準を導入することを提案して、本年度は地図記号に線画像が接続されている場合の問題を取り上げ、地図記号の認識要素の基準とその適用性について研究した。この結果、不用線画像の多段階削除の可能性を示唆することができた。来年度はこの判定基準を拡張して、線画像以外の接続された地図記号に対しても究明する予定である。 このほか、地図記号の研究の中から等高線の情報抽出の可能性を見い出すこともでき、新たな研究材料が芽えたことは特記すベき事項と考えている。
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