1)光ファイバ-利用遠隔操作型ラマン分光装置の作製 1.1)既設のアルゴンイオンレ-ザ-からの光を、光ファイバ-、光学フィルタ-を通して試料に導く光学系ならびに試料からのラマン光をフィルタ-分光器、光ファイバ-を通して既設のラマン分光器に導く光学系を作製した。この光学系の先端部は、カメラの三脚に取り付けられ、容易に任意の場所に移動設置可能である。なお、フィルタ-分光器は二重分散の小型分光器を新たに作製し、使用した。 1.2)既設のラマン分光器に、光ファイバ-を通った微弱なラマン光検出のために効率の良い多チャンネル光量検出器を購入し、付属させた。この時、ラマン分光器の第2番目のスリットに直接散乱光を入るように、分光器の一部を改造した。 2)光ファイバ-利用遠隔操作型ラマン分光による測定とその手法の改良 2.1)実験1)で作製した装置を用い、実験室で人工的に腐食された大面積(0.5×0.5m^2程度)の低合金鋼の腐食生成物に関して、測定箇所を変化させながら測定した。各所の腐食生成物(さび)は、水滴の残り方に依存して、その鉄酸化物組成が変化することが見出された。水滴の中心部では主にγ-FeOOHが、外縁部には変形したα-Fe_2O_3が生成していた。また、水滴に含まれた塩、具体的には、硫酸イオン、塩化物イオン、硝酸イオンなどに依存して鉄さびの組成が変化することが見出された。 2.2)実験2.1)の測定において、測定上の問題点が2、3あることが分かった。特にレ-ザ-光の照射位置とフィルタ-分光器の光路を一致させるのが、結構手間がかかる。現在、その解決のために、装置の改良を行なっている。
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