研究概要 |
アルカリ水溶液中でインド-ルとクロロホルムを反応させ,インド-ルー3ーアルデヒドを合成する反応において、βーシクロデキストリンを添加してインド-ルおよびクロロホルムと分子錯体を形成させることにより,3ークロロキノリンの副生を抑制し,インド-ルー3ーアルデヒドの収率を高め,また,クロロホルムの反応効率を高めることを目的とした.アルカリ濃度,クロロホルムの添加方法,βーシクロデキストリン濃度,反応温度などのインド-ルー3ーアルデヒドの収率および選択率への効果を調べた.クロロホルムの添加法は,反応開始時に全量を添加する“初期添加法"および反応進行に伴いクロロホルムを逐次添加する“連続添加法"について検討した.60℃,10時間の反応において,初期添加法では,インド-ルー3ーアルデヒドの収率が8.7mol%であったが,これにβーシクロデキストリンを添加すると収率が16.2mol%に増加した.連続添加法では収率がさらに向上し21.9%に達した.反応に最適なアルカル濃度を見出し,反応過程で水酸化ナトリウム水溶液を滴下補給して,最適アルカリ濃度を保つことにより,インド-ルー3ーアルデヒドを収率45.8mol%,選択率82.0%で合成することに成功した.クロロホルムと水酸化ナトリウムの反応により生じるジクロロカルベンは水酸イオンおよび水と反応して消費されるが,βーシクロデキストリンはクロロホルムと分分錯体を形成して,この副反応を抑制しており,その効果は40℃で最大となることがわかった.また,βーシクロデキストリンはクロロホルムおよびインド-ルと分子錯体を形成することにより,アルカリ水溶液の対するクロロホルムおよびインド-ルの溶解度を高めて反応を促進しており,また,3ークロロキノリンの生成を抑制することが見出された.
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