研究課題/領域番号 |
01860002
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研究種目 |
試験研究
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
平井 篤志 名古屋大学, 農学部, 助教授 (60023470)
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研究分担者 |
伊藤 一弥 王子製紙, 亀山研究室, 主任研究員
高倍 鉄子 名古屋大学, 農学部, 助教授 (60089852)
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キーワード | 細胞融合 / 雑種検定 / 簡易DNA抽出法 / rDNA |
研究概要 |
細胞融合は、交配不可能な異種植物間における遺伝子の導入を可能とし、育種上重要な手段であり、それの体細胞雑種の同定、選抜は不可欠のステップである。しかし、従来の方法の多くは、比較的多量のサンプルを必要とすること、特定の種の組み合わせに限られること、あるいは、取扱い上の困難さなどから必ずしも有効ではなかった。そこで、種特異的な塩基配列を持つrDNA遺伝子(rDNA)に着目し、内宮らの方法を基により簡便で能率的な方法の開発を行った。 アブラナ、トマトおよびタバコの近縁種植物を材料として用いた。まず、微量の葉(100mg)から全DNAを抽出した。これは、細胞磨砕液からタンパク質や多糖類を酢酸カリウムにより除去し、さらにイソプロパノ-ルによりDNAを特異的に沈澱させるものである。操作は簡単で塩化セシウムによる超遠心のような複雑な操作は不要であり、短時間で済み、収量も良く、得られたDNAは制限酵素で切断することが出来た。次に、葉2mgから抽出したに相当するDNAを適当な制限酵素で処理し、アガロ-スゲルで電気泳動を行った。DNAをナイロンメンブレンにトランスファ-した後、クロ-ン化されたイネのrDNAを非放射性のdigでラベルしたものをプロ-ブとして、ハイブリダイゼ-ションを行った。その結果どの雑種植物も融合親特有のバンドを併せて有することにより、体細胞雑種としての同定が可能だった。タバコ属を用いた解析結果から、交配による雑種の同定も可能であり、また、体細胞雑種はカルスの段階で同定できることもわかった。このように今回開発した方法は微量のサンプルで簡単に、しかも放射性物質を用いず、DNAレベルで雑種の同定ができることが示された。
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