研究課題
試験研究
放射線治療器の6MV超高圧X線を用いたCT撮影装置を完成し、これを用いた高精度放射線治療の照合、位置決め法を開発した。超高圧X線CT画像は、直線加速器の線源から160cmの位置に設置された検出器を用いて、回転照射の要領で取得される。検出器は、タングステン酸カドミウムクリスタルにフォトダイオ-ドを組合せた素子を120個配列したものを用いた。撮像時間は38秒、画像画構成時間は約1分で、患者の被曝線量は約3ラドであった。画像は、放射線治療に利用するのに十分であることが分かった。照射器の寝台上で照射直前に超高圧X線CTを撮影し、これを治療計画用CTと比較することにより、高精度放射線治療の問題点であった位置決めに伴う誤差の照合が可能となった。照合の定量化を図るため、治療計画用CTから輪郭抽出を行ない、超高圧CTにス-パ-インポ-ズする方法を開発して、日常臨床において利用した。超高圧X線CTを治療計画そのものに利用して位置決めを行なう方法を開発した。診断用CT装置から治療装置への患者の移動が不要となるため、位置決めの精度が大きく向上した。体幹部でのRadiosurgeryにおいて応用した。また、超高圧X線CTは、組織の吸収係数を正しく与えるため、線量計算の精度向上に寄与する。超高圧X線CTをもとにした治療計画装置を完成した。さらに、同じ検出器を用いて、照射中に射出ビ-ムを捕え、超高圧X線CTにリアルタイム表示を行なうシステムの設計を行なった。同様に、原体照射中の射出ビ-ムから、患者体内での吸収線量の照合を行なうアルゴリズムを完成し、ソフトウエアの設計を行なった。以上の通り、超高圧X線CTは、高精度放射線治療のほぼすべての領域で、その問題点を解決する。今後、さらなる研究により放射線治療の精度の向上と臨床成績の改善が期待される。
すべて その他
すべて 文献書誌 (20件)