研究概要 |
当初はウッドチャックの飼育条件(ケ-ジの材質,構造,飼料等)及び繁殖条件を探ることが重要課題であったがこの2つに関しては基本的に解決することができた。即ち個体飼育用のケ-ジとしてはステンレス製の側面開放できる様式の強固なケ-ジを作成し,現在もこれを使用している。飼料はモルモット用固型飼料と基本的にほぼ同じ成分であるが繊維成分を少くしたものを開発した。 繁殖条件に関しては狭い固体用ケ-ジ内では不可であるが1匹あたり2m^2以上の面積を有する室内ケ-ジでは可能で更に屋外施設で土の中での営巣が可能ならかなり効率的に(原産地北米と出産数はほぼ変らない)繁殖することが明らかとなった。 ノンキャリヤ-よりウィルスキャリヤ-を作成するには生後期間をおかずにウィルスを接種すればよいことも判明した。生後6週間のキャリヤ-率はかなり高いので接種時期としては生後2〜4週間が一番適していると考えられる。何故ならば生後4週間でウッドチャックは毛もはえそろい目が開き動きも活発となり死亡することも殆んどなくなるからである。 ウィルス陽性の判定は従来RIAによるウィルス表面抗原測定で行ってきたがそれをコ-ドしているDNAをプライマ-としてPCR法を導入した。しかし両者の一致率は未だ完全とは言えないので別なプライマ-を作成して検討する予定である。 キャリヤ-から発生する肝細胞癌に関してはエコ-によりこれを追跡したが大きさが10cm^3以上をこすと急速に発育することを見出した。肝癌の発育,進転様式に関しては多中心性発生と,転移の両方が存在することをウィルスDNAの組み込み様式あるいは癌遺伝子のrearrangementから明らかにし得た。
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