研究分担者 |
坂東 忠司 京都教育大学, 教育学部, 助手 (70218676)
マリク S. パキスタン国立科学博物館, 植物部, 部長
シェイク B.A. パキスタン国立科学博物館, 館長
柴田 尚 山梨県林業技術センター試験研究部, 研究員
樋口 正信 広島大学, 理学部, 助手 (10189772)
小野 義隆 茨城大学, 教育学部, 助教授 (90134163)
田中 次郎 国立科学博物館, 植物研究部, 研究官 (30167499)
萩原 博光 国立科学博物館, 植物研究部, 研究官 (90100932)
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研究概要 |
パキスタン国立科学博物館および上部機関であるPakistan Science Foundationの協力により、ナンガ・パルパット南面、スワ-ト谷上部、カガ-ン渓谷にて、極めて能率的に野外調査を実施することができた。 シダ植物ではフィ-ルド番号で570番、標本数で約1200点の資料を得た。その内、オシダ属、イノデ属では新分類群や新産地が見つかった。また、チャセンシダ属では、地中海要素の種類が見つかり、ミヤマワラビ属やナヨシダ属などでは周極要素の種類も見つかり、シダ植物地理学上きわめて興味深い地域であることが解った。菌類ではヒマラヤ西端に位置するナンガ・パルパットの標高2870ー5300メ-トルにおいて細胞性粘菌の分布を調査した結果、Dictyostelium mucoroides,D.alpinum,D.brefeldianum,D.magnumの4種類の存在を確認した。これらの分布様式から、ネパ-ル・ヒマラヤと比較してヒマラヤ西端では細胞性粘菌の垂重分布が温度よりも乾燥に強く影響されていることが示唆された。サビ菌、クロホ菌、ウドンコ菌については合計528点の標本を採集した。最も標本の多かったサビ菌についてみると、標高の高い地域に分布する種類は、ネパ-ルと共通している種類が多かった。しかし、パキスタン末報告の種類が少なくとも5種類、末記載種が2種類あった。高等菌類では、マツタケ目、ヒダナシタケ類など合せて141点採集した。ヒラタケ、アンズタケなど日本との共通種も相当採集されたが、中部日本の森林帯ではごく一般的なフウセンタケ属の菌類が今回の調査では発見することが出来なかった。担子菌や樹木寄生性分子果不完全菌類相が豊富であることが判明した。藻類では、チリモ類を中心に微細藻類サンプル(固定液浸)350本、土壌藻分離用土壌50点を採集した。チリモ類や淡水性の多細胞藻類で興味深い分類群を採集することができた。蘚苔類では約1200点の資料を採集した。シトネゴケ目所属する16点については、染色体の観察を行っている。キセルゴケ属やラッコゴケ属ではパキスタン新産地として採集することができた。
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