ヒラヤマ西部地域の隠花植物の調査研究

1991 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 02041091
• 研究機関: 国立科学博物館
• 研究代表者: 中池 敏之 国立科学博物館, 植物研究部, 主任研究官 (20000135)
• 研究分担者: レカ゛アリ M.K. ハ゜キスタン国立科学博物館, 植物部, 研究官 ; マリク S. ハ゜キスタン国立科学博物館, 植物部, 部長 ; シェイク B.A. ハ゜キスタン国立科学博物館, 館長 ; 村上 康明 大分県きのこ研究指導センター, 主任研究員 ; 西村 直樹 岡山理科大学, 蒜山研究所, 講師 (40156112) ; 柿嶌 眞 筑波大学, 農林学系, 助教授 (40015904) ; 金子 繁 農林水産省, 森林総合研究所, 室長 ; 芳賀 卓 北海道教育大学, 岩見沢分校, 助教授 (80002765) ; 岩科 司 国立科学博物館, 筑波実験植物国, 研究官 (30151731) ; 萩原 博光 国立科学博物館, 植物研究部, 主任研究官 (90100932)
• キーワード: ヒマラヤ / パキスタン / 隠花植物 / 藻類 / 菌類 / 変形菌 / 蘚苔類 / シダ植物

研究概要

パキスタン国立科学博物館ならびにその上部機関であるPakistan Science Foundationの全面的な協力により、計画どうり、アザド・カシミ-ルとスカルド-を中心とした地域にて、極めて能率的に野外調査を実施することができた。前回同様に、パキスタン側の研究分担者とはテント生活などをとおして極めて親密な関係になり、協同研究の成果をたんに今回の隠花植物学の面だけではなく、今後の研究活動や教育活動など色々な面において達成することができた。
現地から送った採集品はすべて各々の研究分担者の手元にとどき、研究のための標本づくりを行なっている。シダ植物では、前回採集出来なかったオシダ属、イノデ属、ヤブソテツ属、イワデンダ属、ノキシノブ属の種類で日華要素を考える上で、新しいヒントとなる種類や新分類群、新座地が見つかった。菌類では、日本で新種として記載された後、他のどこの国では見つかっていない、コガネテングタケ、ハツタケなど発見された事である。さらに、ヒラタケ科、テングタケ科、キシメジ科で新種が見つかった。また、ヨ-ロッパとの共通種も多数発見する事が出来た。変形菌では、Diderma属の仲間に特異な生態を示すのが、見つかった。分生子果不完全菌類では、Seiridium属,Pestalotiopsis属でパキスタン新発見の種類が見つかった。さび菌類では、五葉マツ類では始めてのこぶ病が発見出来た。藻類では、紅藻類と分岐糸状藻で分類・地理的に興味深い種類が採集できた。蘚苔類では、シノブゴケ属、トラノゴケ属、カガミゴケ属などでパキスタン新産が発見され、これらの種類は東亜の蘚苔類の分布を論議するためには、貴重である。

研究成果

• [文献書誌] 樋口 正信: "ヒマラヤのラッコゴケ属(英文)" Hikobia. 11. 57-61 (1991)
• [文献書誌] 山田 耕作: "クビレケビラゴケの花被について" 日本蘚苔類学会報. 5. 140-141 (1991)
• [文献書誌] 柴田 尚: "パキスタンで採集した菌類(英文)" パキスタンの隠花植物第1巻.
• [文献書誌] 村上 康明: "パキスタンの担子菌類その1(英文)" パキスタンの隠花植物第2巻.
• [文献書誌] 岩科 司: "パキスタン産シダ植物の化学成分的研究(英文)" パキスタンの隠花植物第2巻.
• [文献書誌] 西村 直樹: "アザド・カシミ-ル産の蘚苔類の分布と分類(英文)" パキスタンの隠花植物第2巻.
• [文献書誌] 中池 敏之: "パキスタンの隠花植物第1巻"