研究分担者 |
HENNINO T. Saclay研究所(フランス), 教授
RAVANYI P. Saclay研究所(フランス), 教授
KIENLE P. GSI研究所(ドイツ), 教授
岩崎 雅彦 東京大学, 原子核研究所, 助手 (60183745)
田中 雅彦 東京大学, 原子核研究所, 助手 (20013435)
片山 一郎 東京大学, 原子核研究所, 教授 (30028237)
土岐 博 東京都立大学, 理学部, 助教授 (70163962)
田村 裕和 東京大学, 理学部, 助手 (10192642)
応田 治彦 東京大学, 原子核研究所, 助手 (60221818)
山崎 敏光 東京大学, 原子核研究所, 教授 (80011500)
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研究概要 |
昨年度実施したPb(d,2p)反応実験のデ-タ解析を完了し,Pions in Nuclei国際会議で実験デ-タを発表した。実験デ-タを理論予想と比較するために,2pの終状態を考慮に入れた新たな理論計算が必要となり,現在進行中である。理論計算が完了すれば本論文を公表できる見通しである。 これまでに,本国際学術研究ではPb(n,p)とPb(d,2p)反応を用いた実験を行ってきたが,どちらの反応によっても,目標とするπ^ーの深い束縛状態は観測されなかった。 この理由について理論的解明を進めた結果,これらの反応で生成断面積が小さいのは角運動量の不整合のためで,むしろ(n,d)や(d, ^3He)のように,核子の移行に伴って角運動量も移行するような反応の方が断面積が大きいことが見いだされた。入射核子と放出核子の歪波の影響(核による散乱や吸収)が大きいため,(n,p)のような反応は標的核表面で起こりやすい。これは必然的に標的核に大きな角運動量を移行する。一方,目標とするπ^ーの深い束縛状態は,1sないし2pといった小さな角運動量状態であり,この不整合のために生成断面積が小さいのである。核表面から大きな軌道角運動量を持つ核子を移行することで,この角運動量の不整合を取り除けば生成断面積が上がることが期待できる。 そこで,Saclay研究所で ^<208>Pb(d, ^3He)反応による実験を,また,TRIUMF研究所で ^<208>Pb(n,d)反応の実験を行った。どちらの実験に関しても,現在デ-タを日本に持ち帰って解析中である。TRIUMFで収集したデ-タには,π^ーの束縛領域に断面積の増加が観測されており,期待が持たれている。
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