研究概要 |
平成3年度の本研究計画では,昨年度での研究成果に基づき,胃小腸,下行結腸,直腸で,1)アウエルバッハ壁内神経の形態の分析と、2)外来神経からのアウエルバッハ神経への入力形式,さらに3)壁内神経内での神経伝達の調節機構を検討した。以下にそれぞれの分野について報告する。 (壁内神経の形態の分析)ルシファ-イエロ-を用いた直腸のアウエルバッハ神経の形態とその電気生理学的特性の分析はほぼ終了し,これを国際消化管運動シンポジウム(平成3年11月、神戸)で発表し,American Journal of Physiologyに発表した。また胃及び,下行結腸の壁内神経の形態分析は現在解析中であり,現在までに腸管の壁内神経回路での神経反射の基本的成分,すなわち感覚,介在及び運動神経を明らかにする事ができた。これらの成果は日本生理学会及びアメリカ生理学会の年次総会で発表し,欧文雑誌に投稿予定である。 (外来神経からの入力)迷走神経と胃壁神経,骨盤神経と下行結腸及び直腸壁内神経のあいだでの外来神経からの壁内神経叢への入力を検討した。この結果,いずれの外来神経もC線維を介しており,壁内神経への神経伝達はアセチルコリンのニコチン様受容体を介することが判明した。これらの成果は上述の国際消化管運動シンポジウムで発表し,現在欧文雑誌に投稿準備中である。 (壁内神経叢での神経伝達調節機構)ヒスタミンの長期時間投与による小腸壁内神経の活動が亢進を明らかにし,これをDigestive Disease and Sciencesに発表した。またYペプチドをもつシナプス前抑制作用を明らかにし,この結果をJournl of Physiologyに発表した。
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