研究課題
行列は殆どすべての数学分野に登場し、そこに現れるいろいろな行列を解析することが、問題解決のための重要な点になる場合が多い。本研究では、通常行列論を応用するところの解析学の立場から、逆に解析学の手法を用いて、行列の解析を行なうことを目的としている。研究実績としては、当初計画していた通り8月にWisconsin大学からHans Schneider教授を招へいし、同教授は北海道大学応用電気研究所において講演とセミナ-を行った。同時に、Wisconsin大学側の責任者として、今後の研究計画について研究代表者安藤と打ち合せを行なった。さらに、同教授は京都で開かれてた国際数学者会議において分担研究課題に関する討議を行なった。また、研究代表者安藤は10月にWisconsin大学を訪問し講演とセミナ-を行ない、分担研究課題についての討議をした。さらに、サンフランシスコで開かれていたアメリカ工業及び応用数学国際会議において研究成果を発表した。平成2年度は本研究課題の最初の年度であるので研究は始められたばかりであるが、現在までに得られた主な結果は次の通りである。(1)安藤は、研究分担者中村とともに行列のMajorizationの順序についての局値問題を解いた。(2)安藤は、大久保とともに行列のHadamard積を作用素として解析し、そのノルムを完全に特徴付けた。(3)研究分担者Schneiderは、Hershkovitzとともに行列の0パタ-ングラフを解析し、パタ-ンの高さ指標に関する結果を得た。