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1990 年度 実績報告書

イオウを架橋原子とする遷移金属多核錯体の合成と反応

研究課題

研究課題/領域番号 02247207
研究機関東京大学

研究代表者

干鯛 眞信  東京大学, 工学部, 教授 (60011011)

研究分担者 松坂 裕之  東京大学, 工学部, 助手
溝部 裕司  東京大学, 工学部, 助手 (40175609)
キーワード遷移金属多核錯体 / 架橋イオウ原子 / ルテニウム二核錯体 / チオラ-ト錯体 / ジスルフィド錯体
研究概要

1.我々は先に、架橋チオラ-ト配位子を有するRu(III)の二核錯体[Cp^*Ruー(μーSR)_3RuCp^*]Clおよび[Cp^*RuCl(μーSR)_2RuCp^*Cl](Cp^*=η^5ーC_5Me_5)の合成を報告したが、今回[Cp^*RuCl_2]_2とNaSRとの反応により一連の常磁性二核錯体[Cp^*Ru(μーSR)_3ーRuCp^*]が合成できることを見出した。R=iーPrの錯体についてX線構造解析を行なった結果、本錯体はRuーRu0.5重結合をもつ2.5価のRuの二核錯体であることが明らかとなった。一方、本常磁性錯体[Cp^*Ru(μーSーiーPr)_3RuCp^*]は室温で水素や一置換アリ-ルアセチレンと反応し、反磁性二核錯体[Cp^*RuRー(μーSーiーPr)_2RuCp^*R](R=H,Ph,pーTol)を与えた。R=HおよびpーTolの錯体についてX線構造解析を行ない、これらの錯体では2つのCp^*基が互いにcisに、また2つのiーPr基がsynに位置していることを明らかにした。また観測されたRuーRu原子間距離はいずれも単結合距離の範囲内にあり、これらの錯体がRu(III)を含むにもかかわらず反磁性であることはRu原子間の直接のスピンペアリングによることが判明した。
2.[Cp^*RuCl_2]_2の還元で得られる[Cp^*RuCl]_4とNaSーiーPrとの反応では、Ru(II)の常磁性二核錯体[Cp^*Ru(μーSーiーPr)_2RuCp^*]が得られた。本錯体と水素やメタノ-ルとの反応では二核の反磁性ジヒドリド錯体[Cp^*RuH(μーSーiーPr)_2RuCp^*H]が、またCOとの反応ではジカルボニル錯体[Cp^*Ru(CO)(μーSーiーPr)_2RuCp^*(CO)]が生成した。
3.二核錯体[Cp^*RuCl(μーSR)_2RuCp^*Cl]とLi_2S_2との反応では、架橋ジスルフィド配位子を含むRu_2S_4骨格を有する反磁性二核錯体[Cp^*Ru(μーS_2)(μーSR)_2RuCp^*]が得られた。R=CH_2Ph,iーPrの錯体につきX線解析を行なった結果、S_2配位子はRuーRuベクトルに平行に配位していることが明らかとなり、またRuーRu間に結合がないことから、2つのRu(III)原子間にS_2配位子を介した磁気カップリングが存在するために、反磁性となっているものと推定した。これらの錯体のサイクリックボルタモグラムには3つの可逆な酸化還元過程が現われ、4つの酸化状態が安定に存在することも判明した。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] Somanath Dev: "Preparation and Reactions of Ruthenium Thiolate Complexes [Cp^*Ru(μーSR)_3RuCp^*](Cp^*=η^5ーC_5Me_5; R=iーPr,Et,Cy,Bz,Ph)" Inorg.Chem.29. 4797-4801 (1990)

  • [文献書誌] Hiroyuki Matsuzaka: "Novel Reactions of Alkynes on Dinuclear Ruthenium Centers Bridged by Thiolate Ligands" J.Chem.Soc.Chem.Commun.

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公開日: 1993-08-11   更新日: 2016-04-21  

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