研究課題/領域番号 |
02250103
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
市原 耿民 北海道大学, 農学部, 教授 (20000820)
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研究分担者 |
近藤 忠雄 名古屋大学, 化学測定機器センター, 助手 (70093028)
柴崎 正勝 北海道大学, 薬学部, 教授 (30112767)
原田 宣之 東北大学, 非水溶液研究所, 助教授 (30006324)
伊藤 正時 慶応大学, 理工学部, 教授 (80005438)
中川 敦史 高エネルギー物理学研究所, 放射光実験施設, 助手 (20188890)
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キーワード | 生物機能 / 生体内DielsーAlder反応 / 花色素 / コンメリニン / 発癌プロ-モ-タ- |
研究概要 |
本研究班は生体低分子による複合系形成における精密構造認識を有機化学的手段により解析し、生物機能発現の機構を解明する。具体的には植物病原菌の生物機能の動的解析と化学的シミュレ-ション、花色素における精密構造認識と機能発現、ホルボ-ルエステルアンタゴニストをめざした分子設計と化学合成、海産物、微生物、植物由来の多様な生理活性物質と機能発現などを研究する。これらの分子認識における微視的構造上の特徴の解明を通じて、生物機能発現の人為的制御も可能となり、広範な応用研究に発展させることを目的としている。 生理活性物質の生合成研究において、從来までは標識低分子化合物の取り込み実験を主とした研究手段では最終生成物の標識位置よりその生成経路を推定するにとどまり、中間段階でどのような中間体が関与しているかは不明のままであった。植物病原菌の一種、ビ-ト蛇眼病菌の培地にアンシミド-ル、ウニコナゾ-ルなどの水酸化酸素阻害剤を添加することにより、分子内DielsーAlder反応直後の、ベ-テノン類の前駆物質であるプロベ-テノンを単離することが出来た。ソラナピロンやケトグロボシンについても同様の研究を行い、分子内DielsーAlder反応の傍証を得ることが出来た。 花色素の変異・安定化機構には從来までさまざまな説が提出されていたが、後藤らはツユクサの青色花弁色素コンメリニンをとりあげ、各種機器分析、交差再合成さらにはカドミウム・コンメリニンのX線結晶構造解析により構造を確定した。その構造は予備的結果から推定していた当重点領域研究シンボルマ-クとも見事一致しており、人類の長年の夢であった花色素の真の構造を解明したもので、当班の特筆に値する研究成果である。 PMA(phorbol myristate acetate)は強力な発癌プロモ-タ-として知られているが、このレセプタ-である Cキナ-ゼに特異的なアゴニストおよびアンタゴニストの創製を目標とし、これらの共通中間体を合成した。さらにB環の合成も収率良く達成することが出来た。
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