研究課題/領域番号 |
02303002
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
藤本 博 京都大学, 工学部, 教授 (40026068)
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研究分担者 |
古賀 伸明 分子科学研究所, 助手 (80186650)
榊 茂好 熊本大学, 工学部, 教授 (20094013)
今村 詮 広島大学, 理学部, 教授 (70076991)
土屋 荘次 東京大学, 教養学部, 教授 (40012322)
笛野 高之 大阪大学, 基礎工学部, 教授 (60029387)
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キーワード | 電子構造論 / 分子軌道法 / 軌道相互作用 / 遷移金属錯体 / ファンデルワ-ルス錯体 / イオンチャネル / 高分子 |
研究概要 |
本総合研究(A)において、平成3年度に得られた研究実績の概要は以下の通りである。 1.素反応過程の研究においては、NH( ^3Σ^-)とO_2( ^3Σg^-)との反応のポテンシャルエネルギ-変化の全貌を解明し、速度定数を理論的に算出した。また、HgAr,HgNeファンデルワ-ルス錯体の高励起状態における振動、回転準位構造の測定および光ー光二重共鳴の手法を用いて、Hg原子の6s ns ^3S_1状態に相関する錯体の種々のリュ-ドベリ状態に対するスペクトル測定を行い、リュ-ドベル状態と希ガス原子の相互作用と主量子数との関連を明らかにした。 2.有機反応の研究においては、有機分子の局所的な電子供与能、電子受容能を定義し、これが実験結果に新しい解釈を与え、反応性の予測に利用できることを示した。また、ディ-ルス・アルダ-反応に見られる面選択性についても、軌道相互作用の立場から新たな考察を加えた。 3.遷移金属錯体および反応路の研究においては、遷移金属錯体が示す触媒作用の例として、CO_2の還元反応におけるニッケル錯体の触媒機構Pt(O)錯体によるケイ素化合物の酸化的付加反応の電子的過程について検討した。また、配位不飽和Rh錯体触媒とZr錯体触媒の触媒活性を反応のポテンシャル面、電子的因子の立場から考察し、ヒドロシランの酸化的付加の機構、プロピレンの重合反応機構などを明らかにした。 4.高分子化合物の研究においては、複雑な高分子の電子構造を簡便に計算する方法を提案した。これをアタクチックポリプロピレンやポリシランに適用して、ランダムポリマ-の構造とエネルギ-の関連を明らかにした。また、イオンチャネルについて量子化学的考察を行い、カチオンの違いによる輸送機構の違いをエネルギ-的な見地から明らかにした。
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