研究分担者 |
室田 誠逸 東京医科歯科大学, 歯学部, 教授 (50072989)
松本 章 北海道大学, 歯学部, 教授 (40064365)
須田 立雄 昭和大学, 歯学部, 教授 (90014034)
加藤 有三 長崎大学, 歯学部, 教授 (20014128)
榎本 昭二 東京医科歯科大学, 歯学部, 教授 (40013940)
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研究概要 |
I.骨吸収の病態モデルに関する研究:1)colchicine投与による骨髄内異所性骨形成ー骨吸収モデルにより骨吸収相においてはosteopontin mRNAの発現が認められた.2)lathyrogenic agentsの連続注射により新しい実験的歯槽骨吸収モデルを作成することに成功した.このモデルにおいては糖尿とhydroxy-proline尿の併発が証明された.II.骨吸収に関与する細胞系の機能発現機構及び骨吸収の局所的因子に関する研究:1)単核の破骨細胞の存在を証明し,また移動中の破骨細胞の立体構造が明らかにされた.2)正常の破骨細胞の分化は骨髄微小環境の異常に起因するものと破骨細胞前駆細胞自身の異常によるものとの2通りあることが判明した.3)破骨細胞の形成には,stroma cellによりPGE_2・Aキナーゼ系を介した未知なる因子の産生と,さらにstroma cellとstem cellとが細胞接着分子を介して接着する必要のあることが判明した.4)破骨細胞の機能発現と共役している骨髄細胞においては,細胞環境のカルシウム濃度の低下に反比例して外部カルシウムの細胞内取り込みが増大することが判明した.5)扁平上皮癌細胞は種々のサイトカインを産生しており,これらが局所の骨吸収及び高カルシウム血症を引き起こしていることが示唆された.6)S180Aの骨吸収因子は,TGFαあるいはIL-1αであり,その骨吸収機構は骨芽細胞のホスファテジルコリン加水分解を伴うプロテインキナーゼCの活性化を介している可能性が示された.7)マウス頭蓋骨より分離した骨芽細胞は血小板活性化因子(PAF)受容体を有し,PAF刺激に対して細胞内Ca^<2+>濃度を上昇させた.III.歯槽骨吸収の予防と治療法に関する基礎的研究:1)骨吸収抑制薬の効果は,その薬物を骨代謝の概日リズムのどの位相に与えるかによって大きく異なることが明らかにされた.2)歯肉溝滲出液(GCF)の中のosteocalcin(OC)濃度の増大は,歯周組織破壊の度合を反映していることが示唆された.3)骨形成能を有する物質(BMP)にアテロコラーゲンその他の徐放性因子を基剤として用いたところ,ラットにおいてBMPの骨形成能が促進された.4)全部床義歯装着患者の咀嚼時咬合力をテレメータリング・システムで検索し,歯槽骨吸収には力学的因子が無視できないことを示した.5)アスピリン投与は実験的な外傷性咬合下における歯槽骨の吸収を抑制することが示唆された.
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