研究概要 |
動物実験オ-ルタナティヴの世界的動きに適切に対処する一手段として,初学者に動物を用いないで動物実験手技を教育,訓練するためのシミュレ-ション(モデル)の開発を目的として,平成2年度より3年計画で本研究を進めている。 第一年度は,経口投与,気管挿管,尾静脈注射あるいは採血等の手技訓練ができるラットモデルの開発を目標とし,(株)高研の技術スタッフの全面的な協力の下に,シリコ-ンを材料とした実用に耐える試作品を完成させ,第38回日本実験動物学会(平成3年5月,札幌)において展示し,多くの会員より高い評価を受けることができた。 このラットモデル(シリコ-ン製)は極めて現実感あふれる実用化に耐える製品であったが,1)高価であること(試算で1匹10万円余),2)反復使用に多少問題があること(例えば経口投与に20回前後が限度)のため,より安く,より強い製品が望ましいのと結論に達し,急いで計画の一部を変更し,第二年度は塩化ビニ-ル製のラットモデルの開発に着手することにした。 第一年度の研究の蓄積があったため作業は比較的順調に進み,シリコ-ン製モデルの感触にほとんど劣らない,安価な(1匹1万円弱),丈夫な(最低100匹の反復使用に耐える)塩化ビニ-ル製モデルの作製に成功した。このラットモデルの製品は,第39回日本実験動物学会(平成4年5月,東京)において発売できる予定である。 この塩化ビニ-ル製ラットモデルの製品化と平行して,当初の予定であったウサギモデルの開発を進め,ウサギ皮膚の感触をもつシリコ-ン布(皮膚)と実用化に耐える塩化ビニ-ル管(静脈)の試作に成功した。 第三年度は,ウサギモデルの開発,試作,製品に重点を置く。
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