研究課題/領域番号 |
02306002
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研究機関 | 東京水産大学 |
研究代表者 |
有賀 祐勝 東京水産大学, 水産学部, 教授 (10017022)
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研究分担者 |
松本 聰 東京大学, 農学部, 教授 (20032295)
小倉 紀雄 東京農工大学, 農学部, 教授 (30015127)
福嶋 司 東京農工大学, 農学部, 助教授 (30111420)
山口 征矢 埼玉大学, 教養部, 教授 (70114220)
大槻 晃 東京水産大学, 水産学部, 教授 (30101041)
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キーワード | 低湿地生態系 / 湖沼 / 河川 / 人間活動 / 土壌 / 植生 / 微生物 |
研究概要 |
(1)霞ケ浦では湖北西岸一帯(出島村域)および東岸(玉造〜麻生町)のアシ帯は殆ど消失し、他の地域でも群落の著しい損傷が認められた。前年度に引続きアシ帯の付着藻類(主に珪藻類)の調査を実施し、解析を進めている。 (2)多摩川中流部の河川敷にはオギ群集、ヨシ群集、ツルヨシ群集、オオイヌタデ群集、オオバコーカゼクサ群集、アキメヒシバーオヒシバ群集、メドハギーヨモギ群集、イタドリ群集、アキノエノコログサーコセンダングサ群集、ギシギシーナガバギシギシ群集などが分布しており、このうちオオバコーカゼクサ群集とアキメヒシバーオヒシバ群集はグランドや公園など人為的に原地形を改変・造成した所に成立している。また、一部地域のヨシ群集を除き、ヒメガマ、コガマ、サンカクイ、マコモなどの挺水植物は殆ど認められなかった。このため、水中の栄養塩、有機物、無機物などの水質浄化に及ぼす河川敷植物群落の影響は小さいものと考えられる。 (3)多摩川河口域においては、潮位の上昇に伴い底層水の塩分は上昇し、硝酸態窒素濃度の変化と良い対応を示した。間隙水については、干出時には硝酸態窒素濃度は0‐5mm層で最も高く、15‐29mm層以下では殆ど検出されなかった。アンモニア態窒素濃度は表層で低く、深さとともに上昇した。冠水時には干出時に比べて塩分は低下し、硝酸態窒素濃度は上昇して直上水中の濃度に近づき、アンモニア態窒素濃度は全層で低下した。調査地点の干潟には多毛類のゴカイ・イトゴカイ類が多数存在し、窒素代謝に何等かの影響を与えていると思われる。 (4)沿岸域の低湿地土壌の微生物代謝のモデル実験を進め、海水、汽水、淡水の3種の溶液により湛水された河口域堆積物中の還元発達、硫酸還元およびメタン代謝の関連を検討し、淡水中では硫酸還元量が少なく、メタン代謝が旺盛に起こるが、汽水中および海水中では硫酸還元量が大きく、メタン代謝が著しく抑制されることを示唆する結果を得た。 (5)タイ国ソンクラ湖の底泥試料を採取し、分析した。採取地点により底泥に含まれる有機物の含量は異なり、最も低いものでは炭素で0.01%以下(検出限界以下)であり、最も高い試料で1.32%を示した。全窒素含量は最高で0.21%あり、炭素含量と高い相関を示した。細粒子組成と有機物含量との間には相関はなく、むしろイライトを主体とする粘土画分が多いほど、室内インキュベ-ションで進行する還元反応は強く、多くのFe^<++>が溶出された。構成粘土鉱物はイライトとカオリナイトを主体とし、一部スネクタイトの存在を確認した。
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