種々のR_2Fe_<14>B(R:希土類元素、主にPr、Nd)金属間化合物の熱間変形挙動を広範な熱間加工温度、ひずみ、ひずみ速度範囲で調べ、凝固組織と加工性および加工組織との関係、各プロセッシングによって規定される金属組織と磁性の関係を明確にすることを目的とした。本年度は本研究全般の基礎をなすNdーFeーBおよびPrーFeーBーCu系の状態図的検討を中心に行なった。そして初晶領域、特にR_2Fe_<14>BとFeの境界面、R_2Fe_<14>BとR_2Fe_4B_4一変系共晶線、R_2Fe_<14>BとR_2Fe_<17>の包晶線を確定することができた。すなわちNdーFeーB3元合金では最終凝固反応付近に3つの発熱反応を伴い、Tcが280、250、190、-150℃の相が新たに確認された。PrーFeーB3元合金でも最終凝固反応付近に3つの発熱反応を伴い、Pr_2Fe_<14>B、Pr_2Fe_<17>以外にTcが270、245、205℃の相が発見された。Nd系と同様に最終凝固過程、新しい相の生成濃度、温度域を検討し粒界相の構成組織について知見を得た。またPr_xFe_<86ーx>B_<5.5>Cu_<1.5>(x=13、15、17at%)4元合金を850〜1050℃でホットプレスし加工度、加工温度、熱処理条件、金属組織と磁性の関係を総合的に把握した。950℃、60%の加工条件によって最適な磁気特性が得られた。熱間加工時に初晶Feは消失し、Fe_2Prが生成されるが950℃付近の高温熱処理でFe_2Prは消失する。またPr_2Fe_<17>相は13、15%Prで存在するが、17%Prでは580〜1050℃で安定に存在し、580℃の反応はL+P_2Fe_<17>→Pr_2Fe_<14>B+Prと確定できた。これまでの加工プロセスは均熱、加工、高温熱処理、低温熱処理であったが、たとえば950℃で長時間均質焼鈍し、850℃のような低温でホットプレスすることで微細な加工組織が得られ、このためiHcが14KOeと大きく増加させることができた。
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