研究課題/領域番号 |
02402048
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
向井 喜彦 大阪大学, 工学部, 教授 (20029044)
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研究分担者 |
西村 新 文部省, 核融合科学研究所, 助教授 (60156099)
村田 雅人 大阪大学, 工学部, 助教授 (20030059)
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キーワード | 金属間化合物 / チタンアルミ / イオン注入 / 耐食性 |
研究概要 |
高温構造材料として有力視されている金属間化合物TiAlを母相とするTi-34wt%Al-2wt%Moに対して、窒素イオン注入による耐食性の改善を試みた。1273Kでの大気中酸化試験を行い、酸化による重量増加を調べた。イオン注入した試料と未注入試料とでの酸化増量の比較を行った結果、イオン注入試料では酸化増量の低減が認められ、窒素イオン注入により高温酸化特性の改善が可能であることが明らかとなった。TiAlの酸化特性について、酸化試験後の試料の自然冷却過程では表面酸化物の剥離がみられ、酸化時間が長いほど剥離は顕著であったが、イオン注入材には酸化皮膜の剥離はほとんどみられなかった。酸化皮膜の剥離には、下地材料と酸化物の間や異種酸化物層の間の熱膨張係数の違いに起因する熱応力が関係していることが考えられる。小傾角X線回折、走査型電子顕微鏡観察、電子線マイクロアナライザ分析により、TiAlの酸化皮膜については、外層にTiO_2が、内層にAl_2O_3が形成されていることが確認され、イオン注入を行うと内層のAl_2O_3の形成に大きな差異が生じるようになることが明らかとなった。五酸化バナジウム85wt%+硫酸ナトリウム15wt%の合成灰塗布による1273Kでのバナジウムアタック試験および湿潤腐食としての硫酸環境における分極試験では、イオン注入による耐食性の改善はあまり認められなかったが、塩酸環境における分極試験においては、高温酸化試験と同様に、イオン注入による耐食性の改善が認められた。X線光電子分析によれば、イオン注入材では表面層にTiNが形成されていることが認められたが、耐食性の改善はこれがセラミックスバリアの役割を果たしたためと思われる。よって、今後、イオン注入条件を最適化することにより、金属間化合物TiAlの環境強度のさらなる改善が期待できるものと思われる。
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