研究課題/領域番号 |
02404045
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
小柳 左門 九州大学, 医学部, 助教授 (90128017)
|
研究分担者 |
砂川 賢二 九州大学, 医学部, 講師 (50163043)
居石 克夫 九州大学, 医学部, 教授 (70108710)
稲生 哲治 九州大学, 医学部, 講師 (10159965)
今泉 勉 九州大学, 医学部, 講師 (60148947)
金出 英夫 九州大学, 医学部, 教授 (80038851)
|
キーワード | 冠攣縮 / 内皮細胞依存性血管弛緩因子 / 動脈硬化 / セロトニン / サブスタンスP |
研究概要 |
1.傷害された血管壁の反応性を検討し新たな知見を得た。ゲッチンゲン種ミニ豚の冠動脈をバル-ンカテ-テルで傷害した。血管内径変化は造影法を用いて評価した。血管傷害部と対照部のセロトニン3μg/kg冠注による内径短縮率は1週間後に各々80%と16%であり、1ヵ月後に19%と17%であった。血管傷害前にあらかじめアスピリン325mgを服用させたミニ豚では傷害1週間後のセロトニンによる過剰収縮反応は抑制された。セロトニンs2遮断薬であるケタンセリンを前処置するとセロトニンによる収縮はほぼ完全にブロックされた。以上の成績から、1)血管傷害1週間後にセロトニンに対する反応性は亢進するが1ヵ月後には回復する。2)この血管傷害後のセロトニンによる過剰収縮機序にミクロオキシゲナ-ゼ系が関与することが示唆された。(1991年、1992年の日本循環器学会総会学術年次集会にて発表した。) 2.冠攣縮(血管内腔の過剰搾取)の成因は中膜平滑筋の過剩収縮が重要な役割を果していた。冠血管傷害に加えてx線を限局性に照射すると、3〜4ヵ月後、同部には動脈硬化が生じておりセロトニンによって攣縮が誘発された。内皮細胞依存性血管弛緩物質(EDRF)の阻害薬であるL.ニトロ.N.アルギニン(LNNA)を前投与すると対照部のセロトニンによる収縮は有意に亢進したが、攣縮部のセロトニンによる過剰収縮はLNNAで全く影響されなかった。内皮依存性弛緩物質サブスタンスPによって攣縮部・対照部ともに拡張したがサブスタンスPによる拡張は攣縮部で減弱していた。このサブスタンスPの拡張はLNNAの前投与により完全に抑制された。これらの成績から、1)生体内で評価したEDRFによる血管弛緩反応は攣縮部で低下していた。2)セロトニンによる冠攣縮の成立には中膜平滑筋の過剰攣縮が一義的に関わっており、EDRFの低下は修飾因子として作用していことが示唆された。(J.Clin lavest 1992 in pressに発表した。)
|