研究課題
本年度はまず研究を支援する備品としてパ-ソナルコンピュ-タMacintosh IIfx・IIci・SE30及びその関連機器等を購入し、これを研究分担者の勤務部局に設置した。その上で資料収集作業として、(1)既往の研究成果の文献目録の作成、(2)公刊されている平安時代の日記からの寝殿造関係の史料の抽出(中右記・権記・御堂関白記等)、(3)日記の写真版の収集(尊経閣文庫所蔵小右記・内閣文庫所蔵左経記・東大史料編纂所所蔵愚昧記等)、(4)発掘調査報告書の検索による寝殿造を含めた住宅関係遺跡の発掘成果の収集(京都府及び東日本の十五県分)、を行い、(1)の全てと、(2)(3)(4)の一部をデ-タベ-スとして入力した。研究作業としては上記(2)(3)(4)の収集資料を分担者が随時分析作業を行うとともに、研究会を三回行って、本研究の目的に沿った寝殿造住宅を巡る諸問題の複数の研究分野からみた解明作業を進めた。本年度は資料収集作業とその資料の整理のための環境整備に時間をとられたため、資料の分析などの研究作業は進行中であり、次年度以降に集中的に進めざるを得ない面が大きいが、現段階での新たな知見として、(1)初期の中央の寝殿造住宅が多様な形態をもっていたこと、(2)平安後期の状況を具体的に明らかにするような発掘情報は少ないこと、(3)中世の住宅との関係も具体的に関連付けて解釈しうる資料に乏しいこと、(4)近年の住宅史の研究成果でもなお諸分野の成果を充分総括し得ないまま叙述のなされている例が少なくないこと、等が判明した。本研究の今一つの柱である政治制度・儀式・社会経済的背景・生活様式・家族制度との関わりから寝殿造を考えること、及び上記(2)(3)(4)の残された資料収集については、次年度以降の主要研究課題となる。
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