研究課題/領域番号 |
02452015
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研究機関 | 国立天文台 |
研究代表者 |
浮田 信治 国立天文台, 電波天文学研究系, 助教授 (20184989)
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研究分担者 |
御子柴 廣 国立天文台, 野辺山宇宙電波観測所, 助手 (50249942)
坪井 昌人 国立天文台, 電波天文学研究系, 助手 (10202186)
高羽 浩 郵政省通信総合研究所, 関東支所, 研究官
笹尾 哲夫 国立天文台 地球回転研究系, 教授 (20000177)
井上 允 国立天文台, 電波天文学研究系, 助教授 (10151622)
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キーワード | VLBI / 変光星 / メーザー現象 / 質量放出 / 位置天文学 / 固有運動 / 群遅延 / バンド幅合成 |
研究概要 |
鹿島34m鏡・野辺山45m鏡を用いたミリ波VLBI(KNIFE)観測により晩期型変光星のメーザ輝線を観測し、そのガスシェルの構造や質量放出の研究を行った。昨年度のμ Cepに続きVY CMa,W HyaのSiOメーザ(J=1-0,v=1,2)についても解析をすすめ興味ある観測結果を得た。メーザスポットの空間分布はいずれの場合もリング状に分布している。広がりの大きさは、μCep及びW Hyaの場合は星本体の直径程度であり、VY CMaの場合は数倍程度まで広がっている。更にメーザスポットの分布中心からの天空上の離角に対して視線速度を調べてみると、その分布はランダムである。これはガスシェルの外層で放射されているOHメーザが一様な速度で等方に膨張するシェルの速度場で記述できるのと較べて特徴的な点である。これらの3つの分布の特徴と従来から知られているSiOメーザが星の視線速度に現われることを総合してみると、SiOメーザは星の脈動でできた表面近傍の広がった大気中で放射されており、メーザ増幅は半径方向ではなくむしろ広がった大気のリム方向におきている。SiOメーザ領域では、SiO分子はまだダストになっておらず豊富に存在しており、ダストに働く放射圧による加速などによる大局的ななシェルの膨張もまだおきていないと推察された。 H_2メーザのKNIFE観測からも興味ある観測結果が得られた。鹿島34m鏡で行われたH_2Oメーザサーベイから、メーザプロファイルがダブルピークを示す天体では、ブルーシフト成分が強いことが多いことが明らかになった。このような天体をKNIFEの高い分解能で観測するとブルー成分の相関強度は強いのに較ベレッド成分のそれは極端に小さく殆ど分解されていることを示す。これはブルー成分には半径方向に強く増幅されたコンパクトな成分があるのに対し、レッド成分ではその様な成分は星本体によりブロッキングを受けていることが示唆された。
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