研究分担者 |
藤野 清志 愛媛大学, 理学部, 助教授 (40116968)
吉田 鎮男 東京大学, 理学部, 助教授 (50011656)
大中 康譽 東京大学, 地震研究所, 教授 (00012956)
鳥海 光弘 東京大学, 理学部, 助教授 (10013757)
松田 時彦 東京大学, 地震研究所, 教授 (70012896)
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研究概要 |
岩石のレオロジ-に関する実験的研究は、リソスフェアの下限が推定できるようになったという点でプレ-トの輪郭を浮き彫りにしつつある。しかし、プレ-トそのものの強度とか,プレ-トの力学的相互作用の大きさについては,大きい強度・強い相互作用を示す岩石の変形実験などの結果と,その全く逆の結果を示唆するサンアンドレアス断層周辺の熱流量異常,主応力方向などの結果が,20年以上も対立しながら,未だにはっきりした結論は得られていない。シュ-ドタキライトは問題解決の一つの鍵を握っている。この岩石は,断層帯の内部または近傍に脈状に産する超微粒物質からなる岩石で,地震時の衝撃と摩擦熱によって形成されたと考えられているものの,その実体と形成機構はよくわかっていない。多くの人達はこの岩石が摩擦溶融によって形成されたと信じており(メルト説),もしそれが正しいならば,この岩石の存在は強い相互作用(高応力)を支持することになる。一方,この岩石は微粒粉砕岩であるという立場が古くからあり(粉砕説),その場合には地殻応力の大きさについてはわからない。 本研究では、シュ-ドタキライトの起源を解くための全く新しい方法を思いついた。オ-ストラリア中央部産のシュ-ドタキライト中に散在する破砕岩片は,フラクタル次元が1.5の粒径分布をもっている。この粒径分布から細粒部の占める割合を見積ると4〜5%以下になる。つまり、粉砕岩片として説明できる細粒部は実際の細粒部の1/10以下ということになり,粉砕説は否定された。長年の懸案がこれで一気に片付いたことになる。 本年度は,また,摩擦溶融現象を実験的に詳しく調べるために,高速剪断摩擦試験機を設計・製作した。現在その試運転の最終段階に入っており、新年度には多数の基礎実験がおこなえる見通しである。
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