研究概要 |
スフェロマックは核融合磁気閉じ込め方式の一種であって,主にプラズマ中を流れる内部電流によって閉じ込め磁界を発生する。一般にプラズマは抵抗を有し,内部電流はそれによる減衰を起こすから,スフェロマックを定常的に維持するには何らかの電流駆動を必要とする。本研究においては,中心変流器を用いた誘導的OH法,および電極を用いたDC法によって,抵抗減衰時間の数倍の長さにわたって配位の維持を可能ならしむる手段を研究することを目的としている。平成2年度においては,3年計画の初年度として周辺設備の整備と予備的実験の着手を行った。まず,プラズマ配位の維持を確認するための計測手段の一つとして,可視光トモグラフィ-装置の製作と,像再生アルゴリズムの研究を行った。装置としては将来の三次元像の再生を目標としてCCDアレイを用いた検出部を開発し,またアルゴリズムとしてフ-リエ・ベツセル展開法および非対称ア-ベル変換法を開発,研究してその実用性を確認した。次に主要実験装置であるTSー3スフェロマック発生装置に関連しては,コンデンサバンクの200KJへの増力,および,それに接続するOH法のOHコイルの製作を行った。一方予備的実験としては,長時間配位維持において問題となるプラズマの磁気緩和現象およびその時に重要な役割を演ずる磁気リコネクション過程についての実験研究を行なった。この研究において,従来理論的のみに検討されていた磁気リコネクション過程における磁界の3次元効果に関して,理論を確認するところの明解な実験現象の測定に成功した。その成果はPhysical Review Letters誌,IAもA核融合。プラズマ物理国際会議,さらには米国APS会議招待講演,Physics of Fluids誌,等にて発表を行い,注目を集めることができた。
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